パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS1『BS世界のドキュメンタリー』「無差別爆撃の歴史(The Bombing War)」

2005/2/17,18再放送(2/14,15本放送)、50分×2、前編:ヒトラーチャーチル、後編:ドイツの都市は壊滅した、プロデューサー:アンドリュー・ソロモン、制作:NDR(独・2004年)、日本語版導入:前田哲男(軍事評論家)
公式サイトを捜そうと試みるも難航。番組のエンドロールは上記の通りだが、NHKサイトには〈制作:NDR/スタジオ・ハンブルグ〉とあったのを手掛かりに何とか発見。
http://www1.studio-hamburg.de/studio-hamburg-produktion/KC_doc/Bombing_War.html
これをみると、制作年が2003年だったり、英チャネル4が加わっていたりする。プロデューサーの名前からしてドイツ人くさくないし、番組を副音声にするとドイツ人の証言に英語が被せてあるし、今一つ番組の出自がはっきりしない感じではある。
上記サイトに掲載されていた名前で検索すると、元ネタらしきものも出てきた。
http://www.amazon.de/exec/obidos/ASIN/3861533170/302-6866553-2587226
発行年が2004年だから逆にテレビ用取材を本にまとめたのかもしれないが、これ以上ドイツ語と格闘するつもりはない。

米国がよく使う「広島長崎への原爆投下は戦争を早期に終結させるため」という言い訳は「ドレスデン空爆は戦争を早期に終結させるため」のパクリだと知る。あの言葉は米国の公文書を漁った史家が出した重い推論というよりは、GHQ辺りで働いていた現場の人間が思いつきで言ったような軽い言葉だったらしい。最初に「ドイツでもキャッチーだったし丁度良いから日本でも使い回そう」と考えた人は誰なのか。
制作者の意図(英独の放送局が協力して加害者被害者共通の歴史を作ろうという最近よくあるアレだ)なのだろうか、番組の論調が「英と独の間で家内制手工業的に細々と空爆合戦をやっていたときは被害の規模も大したことなかったのに、米国が加わってからは最初に意図していた以上に被害も甚大になってもうたではないか。空爆で肝心なのは恐怖であって死者を出すことではないのに、全くヤンキーは加減ってものを知らないぜ」という感じで、ヨーロッパ人はマジでしょうがない奴らだと思った。
先に放送されたドキュメンタリー『スターリングラード』でもそうだったが、ドイツ人は悲惨なエピソードを真顔で話す能力が高い気がする。語り口はある種笑いを帯びているが、悲惨な話をいかにも恐ろしく語られるよりも怖い。
私が子供の頃に読んだドラえもんオバQには防空壕のエピソードがいくつか出てきた。東京大空襲が1945年で、ドラえもんが連載されていたのは1975年前後、今は2005年。いつの間にか「子供が偶然に古い防空壕を発見」なんてエピソードにリアリティがなくなってしまったのか。