パロップのブログ

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BS-hi『ハイビジョン特集』「テレジン強制収容所・いのちの雑誌〜少年たちが残した800ページ」

2004/8/3放送110分、取材:田中陽一/谷内愛、構成:石川剛、プロデューサー:大島正/下田かおる、制作統括:西村崇/大野了、共同制作:NHKエデュケーショナル、制作・著作:NHK日本テレワーク
更に詳しく知りたい人はvedem+peter+ginzでググれば、色々面白いネタが出てくる。
歴史秘話というのは、「秘」ではない前提となる知識が視聴者によってバラバラなのでとても難しい。海外ものとなれば、更に難しい。この作品は、序盤で知識の部分よりも、大多数者の情緒に訴えるであろう子供達の「物語」で作品に引き込んだ後で、徐々に一般的な歴史事実を足していくという、巧みな構成をしていた。
雑誌『vedem』が「収容所内で発行」とはいっても、どうやら印刷していたわけではなく、1部のみを回覧していたようなので、複数人による『アンネの日記』といえなくもない。複数人によるエピソードの集積だから、仮に物語を年代順(具体的には1943年の創刊号→1944年の最終号)に構成しても、個人の目を通して段々と悪化する収容所の状況を描くようにはならないわけで、「配給」「中庭」といったキーワードで章立てしたセンスは素晴らしい。
テレジン収容所は、ナチス赤十字などに「ユダヤ人に快適な町を与えましたよ」と騙すために利用された面もあったという記憶があるが、それならば子供達による新聞発行というのは、外部への表面的アピールに利用出来そうな気もするが、そんな事はなかったようだ。逆に新聞が見つかったら全員最終処分というほどの厳格さも無かったようだし、実際には夜中に明かりも点けずにこっそり制作というのでもないし、タイプライター打ちで回し読みというのも含め、その辺のこっそり感・緊張感がやや想像しにくかった。これは作品の問題というよりは私の問題。
『vedem』内のエピソードを使って、第2次世界大戦前のユーゴスラヴィアの寄宿学校を舞台にした映画『思春期』(http://www.pluto.dti.ne.jp/~z-chida/movie.html参照)みたいなのを製作したら、素敵な作品になると思う。但し物語のハイライトは『vedem』に掲載されていない先生の結婚式になるだろうけど。
蛇足として作品内でインタビューを受けていたズデネグ・タウシグ氏のこと。ズデネクZdenekならばチェコ人にポピュラーなファーストネームだが、ズデネグはちょっと分からない。dやgやvを濁らないケースはあっても、その逆はないだろう。ZdeneGでググっても数10件ヒットするので有り得ない事はないし、ユダヤ系だとチェコ系とは発音も異なるのかもしれないが、ちょっと気になった。ちなみにギンツ少年はpetrではなくpeterだった。