パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

広島FCユース対倉敷南高校

2004/4/11

この試合をみた次の水曜日、名古屋戦で田村がJリーグ初ゴールを挙げた。昨年の水戸戦を見た限りでは、田村が1年目からプロで通用するとは思わなかった。昨年『作陽対玉野光南』戦でみた苔口も「まあ高校生相手だし」と思ってなめていたが、どうやらプロの中に入っても速いらしい。相対評価というのは当てにならない。まあ芝のピッチやら観衆の多さやら相手選手の名声やらで目を眩ましてしまう節穴野郎の書いている文章ということで。

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広島ユースのスタメン
……10前田俊……9富成……15木原……
……………………7柏木……………………
………11桑田…………8田中祐樹………
…2高柳……4藤井……3槇野…14森脇…
………………1佐藤昭大…………………
(訂正:左SBは13大屋。すぐ下に「高柳は別メニュー」と自分で書いているのに)
55分くらい:14→17中山、8→12福本(2人ともそのままのポジションへ)
遠征に18人、怪我で別メニューが高柳ほか3人、キーパーが3人。よって控えのフィールドプレーヤーは2人。「三矢組」さん(http://www.aurora.dti.ne.jp/~eggs/sanfindex.htm)に掲載されている名簿と見比べながら確認したので、おそらく合っているはず。

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試合前の練習風景。よく考えたらというか、よく考えなくても、ユースのコーチが2人とも元日本代表のサイドバック。森脇や高柳はすごい環境で学習している。
ピッチ周りのトラックでアップしている時、フィールドプレーヤーと一緒にいた森山監督に向かって、離れたところから大声で「ゴリさん、何時から中に入って使えるの?」と尋ねる佐藤昭大。「的確なコーチングが特徴」らしいという先入観も込みで、すごく大人びているというかしっかり者な雰囲気を持っていた。
試合開始直後から、正当な競り合いが全部広島側のファールをとられる。ボールと相手選手の間に体をケツまでしっかりいれてキープしたのに、相手が弾かれるとファール。常々広島ユースの選手は体格より技術で獲得しているのかなあ、と思っていたが、普通科進学校のもやしっ子と比べたら、やはり体は強かった。レフェリーがこういう試合を見た事がなくて倒れた方有利に吹いていただけなのかは分からないが、結果として広島側のゲームへの真剣度が薄まったのではないかという気もした[日頃からユースの選手を見慣れている広島側のレフェリーだったら倉敷南高は虐殺されそう、と思ったら、H&Aではなく、総当たり一発勝負だった。但し、数週間後に行われた広島ユースと松江の高校の試合を広島でしたら、やはり虐殺されたようだから、当たらずとも遠からず]。ちなみにファールを取られたり、警告をもらった時の広島選手は不満たらたらで、態度が何というか「部活の高校生」とは違うプロ予備軍ぽかった。あまり従順過ぎるのもなんだから、あれくらいのびのび育てるのも方針か。
育てるユースなんだから、あからさまに技術・体力に差がある場合、例えばドリブル禁止とかロングボール禁止とか、ある種の制約を決めて課題に取り組むとかしたら良いのに、と思ったりしたが、公式戦でそういう縛りをつけるのは逆に失礼な話で、常に全力をもって倒しに行くのが大切なのかもしれない。とはいうものの、ペナルティエリアに入った前俊がディフェンダー3人くらいを直線的なドリブルで置き去りにし(ほんまもんのファントム・ドリブルみたいだった)、抜かれた人に後ろから引っ張られても倒れない風をみると、正直強化にならんなあ、というのが率直な感想。試合全体もやや気の抜けたものになったか。
南高は、自陣ゴール前だとボールを持っている選手に2〜3人が囲みにいく。奪うのではなく、シュートを打たせない感じ。打ったシュートが体に当たる感じ。広島ユースのゴールのうち2点は森脇と中山の(マイナスの折り返しを狙いすました)ミドルシュート。恐らくこれまで対戦した高校生ならば、フリーにしても怖くない距離だったはずなのに、そこから枠をとらえた見事なシュートを打たれては、南高の戦術は成り立たない。
南高は非常によく鍛えられたチーム。同じく倉敷4高で野球部に属していた身としていうと、普通科進学校の部活というのは「まあ、楽しくやって大会に出場出来れば良いじゃん」になりがちだ(実は自分だけだったのなら当時の仲間に申し訳)が、ここは勝利最優先。通常は8〜9人で引き籠もる。FKの時、素早いリスタートなんてのはせず、必ずセットプレー得意な人間が上がってくるまで待つ。少ないチャンスを生かす。約束事を守って一致団結すれば、県大会で格上サッカー学校だって破れるという確信。ついでにいうと、普通科高にありがちな「のびのびサッカー」でもない。監督が大声で指示出しまくり。特に「お互い声を切るな!」「下を向くな!」的な指示多し。個人能力で負ける分、守備に関してはかなり組織的だから、実際のところピッチでは選手自身頭を使っているだろうし、「勝ち負けに拘る事でみえてくるものがある」という考えと「自主性」は両立しないものではない。という事で、なかなか面白いチームだった。2〜3点目を取られた5分間辺りは気持ちが切れていたけど、後は最後まで集中していたし。ただ、3年生が夏のインターハイ予選で負けたら受験のために引退なのか、選手権予選まで引っ張るのかはよく分からない。他のサッカー学校より新チーム立ち上げが早い分、アドバンテージが1〜2月にはあるけど、夏頃までには追いつかれてしまうのかもしれないし、その辺詳しくないので何ともいえない。ただ、プロ予備軍と公式戦を戦って、目標設定を高く掲げる奴が出てきたら、こういう交流戦も捨てたものでもない気がする。
(原文)http://fayefaye-web.hp.infoseek.co.jp/football306.html