パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS1「ピッチにかける夢〜南アのサッカー少年たち」

(『BSプライムタイム』「世界のリポート」内、確かBBC制作)
チェコの骸骨教会が紹介されるというので『BSプライムタイム』「世界のリポート」を見ていたら、偶然RSAで暮らす2人のサッカー少年を数年間にわたって追い掛ける良質ネタに当たってラッキー。いわばサッカー版『フープ・ドリームス』だが、恐らく本家の方は資金のないドキュメンタリー作家が情熱と根気で対象に食い付いて制作したのだろう。こちらは時間も人員も資金も豊富なBBCヨハネスブルク支局の人間が、少年達の両親とマメに連絡とりながら年に数回重要な事柄がある時だけ顔を出して軽く制作したっぽい。
金持ちの白人少年(最初見逃したのでイギリス系かボーア系かは不明)は性格に問題有りというか、黒人のライフスタイルに馴染めないでアヤックスでプレーしようと思った意図が謎過ぎ。仮にオランダ本国のトップチームまで上り詰めても、もっとオープンマインドでないとやっていけないだろう。白人と黒人のプレースタイルの違いについてもブツブツ文句言っていたが、トルシエがRSA代表の監督になった時、レギュラーキーパーをベルナール・ラマ系のバネバネ黒人からルート・ヘスプ系の堅実ボーア人に代えた。差別や偏見論争に巻き込まれなかったのだろうか。
ソウェトで暮らす貧乏黒人少年は、ソウェトが輩出した英雄ルーカス・ラデベに陳情していた(そういえば数年前『フットボール・ムンディアル』でソウェトを訪問するラデベ物語をやってきた記憶がある)。借りたお陰かどうかまでは取材で見られなかったけど、18歳頃までサッカーを続けられたのだから恐らく援助して貰えたのだろう(あの当時のリーズは裕福だったのだろうか)。いくらラデベが故郷への慈善活動に熱心だからといっても才能がなければ「サッカーの道は諦めて学業に励みなさい」と言うだろうし、あの少年、ソウェト内ではかなりだったのだろう。しかし私的に援助を受け、しかも自分の出世に一族の生活が掛かっているという状況はかなりのプレッシャーだと思うのだが、それでも明け方まで遊び呆けて試合に遅刻というのは何なのだろう。楽しみを何もかも捨ててストイックに生きて超一流と億万長者を目指すよりも、与えられた才能に感謝しつつ、それを生かしてそこそこのプロ選手になって家族を裕福にし、自分自身も人生を謳歌する方を選んだという事か。
ゲストの早野宏史氏はプロサッカー界の仕組みを単純化せずに分かり易く説明するという難問に対してグッジョブ。流れの中でクラブユースの存在を省略したのは仕方ない。