パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

青山@作陽、平繁&横竹@ジュニアユース

2003/11/8

美作ラグビーサッカー場まで、高校選手権岡山県予選準決勝の第1試合を観に行った。正午開始、9時半に岡山を出て11時に到着。
少し早めに行ったのは、補助グラウンドで11時から行われる高円宮杯全日本ユース(U-15)選手権中国予選準決勝第1試合に出場するサンフレッチェ広島のジュニアユースを観るため。要するに少し遅刻。
事前に入手した情報等を総合するに、10番が平繁で、11番が横竹だろうと思う。確かにあの中では目立っていたが、成長が早いから今はパワーとスピードで圧倒出来ているだけで、将来は分からない。あまり若いうちから期待をかけるのも罪かと思う。

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さて本題。作陽のスタート時のフォーメーションは次のような感じ。

………………7…………9……………
……15……………………………11……
……………10……………6………
…DF………DF……………DF…………DF
……………………GK……………………

ちなみに私が事前に名前を知っていたのは、10番(青山)と11番(龍門)のみ。
定型はマンウーみたいな4-2-2-2だと思うのだが、味方ゴールキックの時は15番と11番が4トップ気味に張り出したり、。ディフェンスの時は中盤4枚がフラット気味になったりする。そのうちに前の4枚が自由にポジションを変えてくる(ただ9番がポスト役として中央に構えているのはデフォルトだったかも?)。前半の前半は、ほとんど作陽がボールを支配する。
対する光南は、4-2-3-1といえそうだが、4はしっかりディフェンス、2は相手の10番&6番からのパスをカットし、3はプレッシャーをかけ、1トップの苔口だけが絶対に守備へ戻らないでひたすら味方からのボールを信じて待つ。
そうこうするうちに、前半の後半あたりから光南が作陽のボールを奪い、カウンターを仕掛ける場面が出てくる。ボールを奪ったら、まず前線で張っている苔口を見るいわば「苔口スペシャル」。光南の実績から云えば、県内の高校が相手ならば、ほとんどが格下になるわけで、日頃からこんなサッカーをやっているわけではないと思うのだが、作陽相手に対して勝つための「苔口スペシャル」。しかも苔口がそれに応え、ほとんど全ての勝負に勝つ。作陽のディフェンス陣も国体県選抜に何人も送り込む実力者ばかりだろうに、全然止められない。苔口は最初のトラップで、相手に奪われない且つ自分が前を向ける位置にボールをコントロールし、次の加速でディフェンスを置き去りにする。本当は置き去りとまではいかないんだけど、体半分前に出ていれば、後ろから追っかけられてもシュート&センタリング→フィニッシュまでいくし。それに苔口はほとんどサイドに流れない。センターバックのプレッシャーを嫌わないのか、それを自力で勝るという自信があるのか、プレッシャーの少ないサイドでボールを受けてもゴールに直結しないと覚悟を決めているのか。
セレッソの練習に参加したり、U-18の練習に参加したりするため、一緒に練習する時間のとれない人間抜きにはない戦略を採用するのもすごいと思ったが、よく考えたらボールを奪ってから1トップに当てるまでは苔口がいなくても練習出来る(そっから後は個人能力だし)。
一方、作陽の方は、相手の1トップにスピードがあってスペースを与えると怖いの分かっているのに、すごくラインを上げるいつもの戦い方を変えなかった。その代わりに、前半30分くらいには、次のような感じに変えてきた。

……………………9……………………
……15……………………………11……
……………10……………6………
………………………7……………………
…DF………DF……………DF…………DF
……………………GK……………………

上背のある7番をディフェンスラインの前に置いて、トリプル・ディフェンシブハーフ気味。1トップに入るロングボールをその前でカットする意図か。広島がセザール・サンパイオを使ってやっているのと似ている。そんな流れで前半終了。
後半のアタマかそこらの、とにかく早めの時間に作陽が動いてきた。中盤の底で10番の陰として掃除人に徹して効いていた6番に替えて16番を投入。やや攻撃的に。

……………………9……………………
……16……………………………11……
……………7……………10………
…DF………DF……………DF…………DF
……………………GK……………………

後半の半ば、光南選手の何人かが足をつり始めるなど運動量に差が生まれ、中盤でプレッシャーがかからなくなったところで、10番or7番辺りから縦パスがセンターバックの門を軽く通過。抜け出した11番がキーパーとの1対1を決めて先制。この試合を光南父兄に囲まれて見ていたが、私には試合が膠着状態のように見えたのに、父兄は「ちんたらやっているようで、これは作陽のいつものペースじゃ」とつぶやき、ゴールが決まると「ああ、やっぱり…」という感じだった。どうやら作陽はトーナメント仕様というか、決して間抜けな失点をしないようペース配分をしながら、いつでもギア・チェンジ出来るようなサッカーをしているらしい。恐るべし。
しかし先制された光南は、2トップの4-4-2へ、更に前掛かり気味の4-2-2-2へと勝負を掛けにくると、結構作陽が慌てる。作陽の方も7番10番は全くディフェンスラインの前から動かず、完全逃げ切り体制だったはずなのに、ロスタイム間際には、ゴール前で冷や汗ものだった場面が2回程あったし、お互いに6-0-4的な形になっている場面でボールを奪った際、ベンチの野村監督が「後ろで回して時間使え!」と指示しているのに敵陣に突っ込み、ボールを奪われたのを見て激怒していた。選手が自分で判断出来る大人のサッカーを目指すのは理想かもしれないけれど、あまりにもクールで計算されたサッカーを目指すと、如何に実力があるとは云っても高校生同士、逆に思わぬしっぺ返しを食らうような気がした。結局最後は全然クールではなくなったわけだし。
試合終了直後、苔口はピッチの真ん中で青山とさわやかに握手していたが、スタンドの応援に挨拶を終えると、チームメイトと固まってクールダウンしていたピッチの端で、うつむいたまま、ずっと泣いているようだった(遠くから見ただけだから、正確な事は分からない)。何本かあった無理目なチャンスを自分が決めていれば…、といった後悔だろうか。この試合の中で、普通のフォワードならば決める事が出来ただろう絶好のチャンスは皆無、他の人には無理だろうが自分ならば決められたはずと思うのが2〜3本、自分でも決まれば自画自賛したくなるチャンスが2〜3本、攻めているとはいえ相手ディフェンスも揃っておりほとんどノーチャンスの場面が5本くらい、あっただろうか。光南父兄も苔口がボールを持って前を向くと「コケ!コケ!」と叫ぶでもなく呪文のようにつぶやいている。チーム内でお山の大将だと天狗になって消える選手もいるが、周囲の凄いプレッシャーの中で戦い、より精神力が磨かれる場合もあるだろう。
一方、青山は今のままだと中盤のタレントが豊富な広島に行ってもなかなか出場機会がまわってこない気がする。ロングフィードはプレッシャーが緩い時でないと精度にかけるかも(事実、ディフェンダーが前にいる時はパスミスも結構あった)。体の入れ方は上手いし、上背はないけど当たりにも強そうだ。ボールを回している時はマメにポジションを移動して運動量豊富に見えたが、結構棒立ちしている時もある。ただこれは試合展開とかトーナメント戦の特色とか色々あるので、攻めに強引さが見えないなども含め、この1試合だけで評価すべきではないだろう。オサレ系のパスが好きなのは意外だったが、「テクニック」「視野」の評価とはまた少し違う気もする。本人は目標の選手に稲本を挙げていたが、「武骨にみえるが意外にテクニカルな引き気味コンダクター」系といえば、シメオネの系列かも。隣に森崎カズか高萩がいれば、武闘派として活躍出来るか。ただ、あのチームは高校時にキャプテンだった奴らを集めても、すぐに大人しくなるところだから、青山も萎縮してまったりモードに流されてしまうかも。
「U-18の日本代表に選ばれるような選手が敵味方に分かれて県予選で対戦するなんて!」とウキウキで観に行ったが、考えてみると静岡なんてそれが日常茶飯事なのだから、そりゃあ切磋琢磨もするさ。

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おまけ:セットプレーの守りはゾーン+苔口他3名ほどをマンマークする共存タイプ(もしかすると、この程度のゾーンはどこのチームでも常識なのかもしれないがよくわからない?)。セットプレーをゾーンで守るといえば小野剛監督(広島)だが、作陽の野村監督も小野監督と同じ筑波大出身。伝統的な指導手法でもあるのだろうか。

(原文を一部省略)http://fayefaye-web.hp.infoseek.co.jp/football303.html