パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

NHK-BS1『よみがえるNHK特派員報告』「第4週:社会主義東欧の素顔」

3/25-28放送分
当時の放送分のみ残し、前後の解説は削除するつもりで見たが、その解説部分に出てきたスタジオゲストの山室英男氏(元NHK解説委員長)の話が案外と面白かった。まだ見ていない本編の方が詰まらない予感もある。
検索してみた限り、山室氏はやや左寄りな人のようなので鵜呑みには出来ないが、1974年当時のソ連を自ら体験しているというのは、率直に羨ましい。当時書かれた文書を読んでも、その空気感というのを理解するのは難しい。氏もリアルタイムで死ぬ程レポートは書いただろうから「当時の事はそれを読んでくれれば分かる」と言うだろうが、30年経って社会主義のオチも見えたところで、敢えて当時の事を「自分も馬鹿な予測報道を多々したなあ」と自己反省を踏まえながら、リアルタイムでは見落としていたが、記憶に残っている事柄を書き残して貰いたい。歴史を自分の思想に引っ張って解釈する人、同時代で体験していないが故に斬新かつやや的外れな再解釈を行う後発者とは異なる「同時代体験者かつ再解釈者」の記録がもっと残されて欲しい。特に他の人とは違った世界へ行けたのだから。
参考として私の歴史認識:フルシチョフが1960年代に言ったようにソ連は武力ではなく計画経済によって生活レベルで西側に勝利するつもりだった。→重工業重視で生活必需品が不足するなどショボい部分もあったが技術的に西側と大きな差があったわけではなかった。→70年半ばにオイルショック、西側は経費削減のため技術革新で生き残りを計る、また鉄鋼業他重化学産業からテクノロジー的な産業に移行する、ソ連はオイルマネーで生活が豊かになり、社会の空気がちょっと弛緩する(←この番組で知った話)→70年代末、ブレジネフ重病も上層部機能せず→80年代転落へまっしぐら。社会主義の失敗については「自由がない」「やる気がわかない」などの抽象論ではなく、もっと具体的な政策決定ミスの積み重ねを検証することが必要か(←もちろんちゃんとしている学者はいるのだろうから、そういうのを探そうという自分への戒め)。もっともミスが積み重なっても修正が効かない、そもそも「市場の見えざる手」に任せず、自分たちで何でも計画して決めればうまくいくと思ったのが敗因とすれば、「大元の哲学が間違いじゃん」と言われて返す言葉もないが。