パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

フジ739『フランス対チェコ』(2003/2/12)

フォーメーションは大体以下の通り。

メンバー的にはほぼベストのはず。試合自体はフランスの体調がフラフラだったので、あまり参考にはならないだろう。興行も大変だ。ラメの代表人生は終わった。
ロシツキとネドヴェドが中央低め(ドルトムントではあれだけ低い位置でプレーするロシツキはみられないだろう)。但しその後ろにガラセクがいるので、ロシツキとネドヴェドがディフェンスラインの前まで戻る場面はほとんどなし、守備は安定していた。
クラブでのプレーから推測すると、ヤンクロが高め、グリゲラが低めに位置しそうだが、実際には逆だった。これはヤンクロがヴィルトールを追いかけて守備に振り回されたのに対し、グリゲラジダンをみながら前のスペースが空いていたから。左ウィングであるはずのアンリが実際には2トップ気味に中央寄りだった。その結果、アンリ、マルレをウイファルシ、ボルフでみる事になったが、ここでほとんどやられなかった。
それは中盤のプレスが効いていた事で、前線に良いパスを供給されなかった結果。ジダンのマークにガラセクがおわれるのではなく、ロシツキとネドヴェドで賄え、かといってプティ、マケレレがフリーで上がってくる事もなく、ほとんど脅威がなかったので、ガラセクがフリーでスペースを埋めつつ、ネドヴェド/ポボルスキ(右サイド)へ繋ぎのボールを供給していた。これがグリゲラの上がりも誘発する事が出来る要因にもなった。
チェコ代表の特徴は、両ウィングも守備に忠実である事(だから3トップではなく1トップと表現される)だが、ただサイドバックと前後に入れ替わるのではなく、真ん中下がり気味(ネドヴェド/ロシツキ)の位置まで戻って守備する事が可能、前後だけでなく左右にもポジションチェンジが可能、という事だろう。
ただ、ヴァホウセクが前を向いてボールを持っている時でも、中にコラーだけで、他があまり上がって来ない場面もかなりあった。フランス相手だから守備ブロックを崩す事はないのかもしれないが、あまりバランスを気にすると、相変わらずフェロー諸島なんかに点が取れない現象が解消されないという課題が残る。
チェコの1トップは伝統的に守備重視というか、ボールを追いかけたり、ポストで頑張ったりといった地味な仕事が多いのだけれど、バロシュはそういうタイプではないようだ。今の処は、先発コラー、後半〈守ってカウンター〉要員にバロシュでうまく回転するだろうが、近い将来バロシュを代表のエース・ストライカーに据えた時、彼が先発から献身的に汗をかくのはその才能からすると勿体ない気もする。その時は、チーム戦術自体をバロシュに合わせて変更するべき。
ヤンクロフスキも頑張っていたし、ウイファルシは何処でもこなせそうだが、やはり左サイドには左利きの本職ディフェンダーが欲しい。ユースからの指導がそうさせるのか、誰もがユーティリティなのは素晴らしいが、制度からはみ出したスペシャリストも欲しい。
以下、個人寸評。

チェフ ゴールキーパー。守備機会はほとんどなかったが、ハイボールの処理もディフェンスラインとの連携も安定していたと思う。
ウイファルシセンターバック。多分、クラブでのポジションに合わせて使われているのだと思うが、ハンブルグでもパス出しはいつも右足だし、何で左のストッパーをしているのか不明。3バック中央での起用もありか。
ボルフ 右センターバック。テレビでは初めて見るが、個人的に最大の発見。アンリとスピードでも負けないし、高さもある(コラーと並ぶとその大きさが分かる)。ラインコントロールも安定していた。もうレプカは不要か。
グリゲラサイドバック。ドゥルノヴィツェで観た時は右ストッパー。もっと大きいのかと思っていたが、意外に小柄、意外に俊敏、サルガドのようだった。ゴールはラッキーパンチ。どうでも良いが、ブリットポップの軟弱ボーカルみたいな顔をしている。
ヤンクロフスキサイドバックは「20歳の手習い」だろうが、体格あるし、結構無難だった。本当は攻めるのが大好きだろうに、上がってきたのがミドルシュート一本だったのは悲しい。神戸の平野みたいだった。
ペトロウシュ シドニーでは3バックの中央だったが、今回はヤンクロと交替。といっても残り5分くらいだったから「ピレスをしっかり止めてこい」という役割だったかも。
ガラセク ディフェンシブハーフ。エース(10番タイプ)潰しというよりはスペース潰しが仕事の多く。たまにアヤックスの試合を見ていても前線に長いパスを出す場面は見た事がないし、ちょこまか動き回るのが得意のようだ。
ゲデオン ガラセクに代わって同じ位置。初めて見る。トフティングによく似ている。前線への推進力はありそうだが、視野/展開力はあまりなさそう。
ロシツキ 左MF(もちろんポジションチェンジ多数)。あれだけスタートする位置が低いと前線に飛び出す事は出来ない。ピルロのようなイメージで起用したのかもしれない。簡単にはたく事を知っているから、自陣でボールを取られるような愚行は犯さないだろうが、彼のドリブルがほとんど封印されるのは勿体ない(ユーロ2000の時もほとんど中盤の駒の一つだった)。
ドスタレク ロシツキに代わって同じ位置。初めて見るが、まだまだ記憶に残らない。バロシュへのラストパスで魅せたが、基本的には守備の場面でスペースをよく埋めていたのではなかろうか。
ネドヴェド 最近ユヴェントスではゲームメーカーをしているらしいが、見ていないのでイメージが湧かない。この試合はほとんどセカンドストライカー。もちろん中盤まで戻ってチェックにも行くし、森島的な存在。個人的にはネドヴェドのミドルがゴールする場面を見た記憶がないし、サイドを深くえぐる仕事の方が向いていると思うのだが。
ポボルスキ 右ウィング。しばらく見ないうちに随分と守備が上達したのではないか。若い頃からこうしたプレーをしていれば、マンチェスターUでももっと活躍出来たのでは。うまくネドヴェドグリゲラの上がりを引き出していた。髪が短くなっている!
フブシュマン ポボルスキと代わって同じ位置。テレビでは初めて見る。スパルタで観た時は、左センターバックをやっていた記憶があるので違和感がある。期待の若手らしいので、長い時間見たい。
スミチェル 怪我のため15分くらいで交替。サイドに開くのが本人の仕様なのか、チーム戦術なのか微妙。いつもあのゴールから遠い位置にいて、尚かつ頻繁に得点に絡む事が出来るのは、ある意味驚異的。
ヴァホウセク 急遽スミチェルと交替、同じ位置。初めて見る。背の高い割に足下もしっかりしている。といってもコラー的ポストの強さではなく、前を向いてから奪われないピサロ/トリスタンタイプ。おそらくクラブでは2トップの片割れでは。ただスピードやパワーではなくテクニックで勝負するようなので、もう少し強引さがないと代表生き残りは厳しいかも。
コラー 1トップ。ポストからFKの壁まで相変わらず献身的。ヘディングが下手なのも相変わらずだが、ハイボールを頭ではなく胸で確実に味方へ落としてつなぐのもアリとしよう。昔のようにディフェンダー2人を吹き飛ばしてミドルシュートを狙う姿も見てみたいが。
バロシュ コラーの代わりに同じ位置。すぐに怪我で交替(大事をとっただけだろう)。ゴールのシーンをみても才能に疑いはない。今のチェコサッカーに合っているのかは別だが。相手が引きまくる弱小国相手に先発し、ディフェンス切り裂き、開始15分で勝負を決めるようなプレーを期待したい。
ロクヴェンツ バロシュの代わりに同じ位置。監督にとっては既に能力が把握出来ており、テストの必要がないとはいえ、とうとう第3の男扱い。もちろん現代サッカーは怪我人がすぐ出るし、いつでも用意万端というシェリンガムのような選手になって欲しい。