パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

自分の事

WOWOW『サード・ウォッチ』「特別編(In Their Own Words)」(12/17放送分)。『サード・ウォッチ』が新シーズン(2001-2002)を始める前に、番組に協力してくれていたニューヨークの警察・消防・救急などに仁義をきってノンフィクションを第1話で放送。インタビュー収録は2001年10月第1週、テロから1カ月も経っていないことで、自分だけが助かった罪悪感とか、下手な政治背景を知らない純粋な怒りとかがそのままで、むき出しの感情が随分と残っている。トラウマとして純化された記憶になる前の鮮明な詳細さとでも云うもの。必要な部分だけを編集した重いインタビューを90分間連続してみるのは、(しかも番組の序盤は話し手の階級やら字幕がわさわさ出ることもあり)かなりきつい。それから自分はテロの背景話なんかの番組はかなり見たが、テロ行為そのものの詳細に関しては、さっぱり知らない事に改めて気付く。フランス人兄弟のドキュメンタリーだけで、テロ直後の日本の報道番組はほとんどスルーしたせいかもしれない。当時された毎日の報道では、どのくらいの距離感で、どのくらい詳細に報道されたのだろうか。私の知った新事実は、飛行機がWTCに衝突した時、飛行機の破片(5-6mのものもあった)が落ちてきて、下の人たちが「みんな死ぬ!」と思ったこと、もしくは実際に当たって死亡した通行者もいただろうこと。確かに、ビルの壁面を無傷で通り抜けるわけはない。ビルの中にいた救急関係の職員だが、崩壊に巻き込まれて死んだ者、中にいたにもかかわらず助かった者、中にいて崩壊直後は生きていたが生き埋めのまま時間経過で死んだ者など様々で、これは個々の証言を聞いただけで、今ひとつイメージが掴みにくいこと。ビル崩壊というと、あれだけの重量の瓦礫が降ってくるわけで、内部(例えば一階フロアー)にいた人間が生きているはずがないと思ってしまうが、意外に鉄筋が曲がって地底に空間が出来ていたようだ。局長クラスの指導部もずいぶん亡くなっているようだが、指令本部がまるごと巻き込まれたのか、よく分からない。これに付随して、インタビューではある局長が亡くなったという話を、彼を捜しにきた消防隊員のその息子に話せなかったというエピソードだが、崩壊当日に死亡を確認出来た状態とは、瓦礫に埋もれたのではなく、それでいて死んだとはっきり分かる状態とは、どんなだったか、うまく想像出来ない。他に、崩壊後に火事が多数起こったこと、周辺のビルもかなりが、崩壊・火事に巻き込まれたこと、など。おそらくは出版されているだろう○○部隊がビルのどの位置にいて、どう埋もれ、どれだけ亡くなったか、というような眼で確認出来る地図(部屋割表みたいなの)を見ながら、この証言をもう一度みれば、かなり具体的に掴めるだろう。証言で気になったのは、ビルが崩れる時の音を、数人が同音に「真上からジェット機が近づくような轟音」と喩えていたが、これは、テロ直後の新聞のどこか有力紙が、見出しで同様の表現をした結果、それを読んだ体験者が皆「ああ、あれは確かにジェット機の轟音」と納得し、比喩として多用しただけかもしれない。証言者が隔離されていない以上、実体験の説明を借りてきた表現でイメージするようになるのは仕方のないことだが、ドキュメンタリー作りの場合、気を付けないと1人の印象表現が複数の共通理解に解釈されやすくなる。本筋から離れるが、証言集の合間に、『サード・ウォッチ』俳優陣によるナレーションが入る。テロ前、番組に協力してくれていた本職隊員に対し、番組を作り上げる仲間意識を持っていた俳優と、「俺は演技する人、お前らはただの外部のアドバイザー」と仕事と割り切っていた俳優とがいたと想像できるが、テロ以後の収録では、家族意識を持っていた人と一仕事に過ぎなかった人とでは、臨む姿勢というかテンションが違い過ぎて、分解しなかったのだろうか。というか、逆に外部アドバイザーとは口も聞かなかったような俳優が、この番組では神妙に「彼はかけがいのない英雄でした」とか読んでいるのは見て、キレた俳優はいないのだろうか、と邪推してみる。おまけ、「漆黒の闇」を「ピッチ・ブラック」というのか。
テレビ朝日トルシエ独占告白』(12/27放送分)とBS-hi沢木耕太郎の日本代表勝利と敗北』をセットで。沢木氏の電波妄想をカットして選手とサミア氏の証言だけを残そうと思ったが、それだけ5分にも満たないだろうから、即消去した。ワールドカップ直前に、テレ朝で沢木氏監修の代表ドキュメンタリーが制作され、これはまともだったと思う。ワールドカップ終了後に、テレ朝は『六月の勝利を〜』に即したまともな内容の番組を制作し、沢木氏はNHKへ移籍して私的な内容の番組を制作した。総集編の制作途中にテレ朝と沢木氏が衝突し、沢木氏を放逐、沢木氏が「私、日本戦は全部見ましたよ」とNHKに売り込んで、特番制作、なのだろうか。番組の内容よりそっちの方が気になる。