パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『中国対日本』

今後このチームに関する報道は莫大に増え、影響されやすい私も詰まらないことを書くようになるので、今回「回顧と展望」的なものとして長文を残しておきたい。次に触れるのは多分アテネ五輪の総括の時。まずゲームの勝敗についてだが交代無制限の親善試合では大した意味はない。45分×2チーム分の選手を連れてきているのだから、勝ちたければフレッシュな選手を絶えず投入すればよい。特にこの試合のように高温多湿な環境ならばなおさらだし、現に中国は人を入れ換えて体力で圧倒していた部分がものをいった部分も多いと思う。山本氏が選手を頻繁に交代させなかったのは、相手に体力負けしてからどれくらいハートで持ち堪えるか、ボールと相手を走らせて優位に展開するクレバーさがあるか、それからもちろん全員でハーモニーを奏でられるか、などの実験をアウェーでしていたのだろう。このチームの前身がワールドユースを闘う準備をしている時、西村監督は「トルシエのフル代表と方向性は同じだが、それに加えてよりボール保持率を高めるオランダ的な事がしたい」の類いの発言をしていた(はず)。『ミニ・オランダ』という事をいえば大抵は失笑をかってしまうが、ワールドユースチェコ戦ではそれっぽいサッカーをしていたと思う。この路線だと全員の距離感というか、同じ方向性を向いていないと50センチずつ、0.3秒ずつ隣の選手と息がずれただけで、とんでもなく無駄無駄走って疲れるわりに得るもの少ないサッカーになるが、噛み合った時はトルシエ時代のカメルーン戦やポーランド戦に匹敵するプレスの利き具合に加えてその時以上にキープ率が高くて見ていた楽しいサッカーが出来ると思う。森崎兄、森崎弟、青木@鹿島、鈴木@浦和という人選が、その狙いを示しているし、おそらく弟→山瀬、青木(鈴木)→阿部@市原になっても方向性は変わらないと思う。そこで問題になってくるのが攻めの手段で、今回の交代も色々批判されているようだ。途中から入った田中達也@浦和も石川@FC東京(前横浜FM)も日頃見ていて楽しくなる選手だし、素晴らしいスピードを持っている事は疑いない。しかし石川がオーウェンより早くて点を取るかといったらそうではないだろう。一方で、森崎兄/阿部/青木による中盤のキープがジェラード/ハマン/マーフィーのキープに絶対劣るかといえば、そうとも限らないだろう(青木のやや長いフィードは結構好きだ)。日本のサッカーというか特徴を活かしたサッカーというのはそういうことだと思う。中国やJリーグディフェンダーをきりきり舞いさせるには田中が一番だからといって、それが世界相手にはまるかと云えばそうとも限らない。もちろん現時点で結果を出している選手を代表に呼ぶのはそれはそれで正しいし、カウンター用のオプションとしてパス出しする側と常に代表合宿で連携とるのは重要だと思うが。今回の年代は「伸二や俊輔のようなタレントはいないが全員が高い技術を持っている世代」と評価されている。素人の私から見ると、いくらサンフレヲタでも(好き嫌いは別にして)森崎ツインズや駒野がこのままフル代表に繰り上がれるレベルにあるとはとても思えない。というか、この年代の選手、体の入れ方、視野の確保の仕方から走るフォームまで、基本ができているからかよく似ている。全員が明神、という日本の理想形が現実化しているともいえるが、流石にそれだけでは何か物足りないだろう。大久保や山瀬が入ると少し違うのかもしれないが、最後にものをいうのはシステムから一度は振るい落とされた異端児という事はままあるので、これから変な特徴を持った奴が国内リーグで活躍して抜擢されるのを期待したい。だが、ワールドカップ98では、予選から本番までで森保、高木、柳本、路木などにぬか喜びさせられたサンフレヲタとしては、アテネに森崎ツインズも駒野も誰もいなくなっていそうな気がして怖い。おまけだが、この年代の奴らはクラブで干されているのだか怪我しているのだかの情報量が少ないので微妙に困る。読売の飯尾なんてお気に入りだったのだが。