パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『NHKスペシャル』「ドキュメントロシア」

「前編〜プーチン・権力への階段」(7/6放送分、構成:秦正純/阿部浩二、制作統括:三雲節/山内聡彦/林新)。無駄に膨大な資料を抱えているNHKが「やれば出来る」ことを見せつけた傑作。1989年12月5日ドレスデンから始まり、ソプチャク、ボロジン、タルボット、ビャヒレフなど懐かしの顔触れ総登場。最大の見所はスクラートフ検事総長のスキャンダルに関する解説、エリツィン対プリマコフ、その結果としてのプーチン昇格など、その場限りの報道では分からなかった前後関係がはっきりした。IMFカムドシュ専務理事の対ロシア交渉の映像は、以前NHKで放送された他国のドキュメンタリーで見た覚えがある。流用か。
「後編〜プーチン・苦渋の決断」(7/6放送分、構成:秦正純/高木洋介、制作統括:三雲節/山内聡彦/林新)。後編は9・11以後の状況。敢えて云えば「アメリカとロシアと中央アジアイスラム原理主義と」だろうか。天然資源が豊富な中央アジア諸国を味方につけようとアメリカとロシアが引っ張り合いをするが、イスラム原理主義と戦うのを口実に、チェチェンでの戦いをアメリカに認めさせる代わりにアメリカ軍が中央アジアに展開するのを認めるという事実上ロシアの敗北。ゴルバチョフ以後コーズイレフさんなんかがこんな外交をして国内では売国奴呼ばわりだったわけだが、プーチンはその辺の処うまくごまかしているらしい。恐らくアメリカは中央アジアに軍を展開させたくてワザとアルカイーダのテロを黙認したという説も流れるくらい、アメリカのアフガンテロ撲滅作戦というのは裏がウソくさいわけだが、ここではあまり踏み込まないことにする。ただ一言付け加えておきたいのだが、テロ撲滅を口実にアフガンの民間人犠牲は「しょーがない」と言っているアメリカ、アフガン育ちの民兵が率いるチェチェンゲリラ掃討作戦を口実に民間人殺しまくっているロシアが手を結んだわけだから、ビンラディンから送り込まれたヤシがほとんどだったコソボ解放軍を殲滅しようとしたら「人道に関する罪」でタイーホされちゃったミロシェビッチをいい加減ハーグから釈放してあげようよ、ブッシュ・ジュニア。やっていることも相手もあんたと同じだよ。もう一つおまけ。番組のナレーションで以前ならテロ集団について「アメリカの発表では○○と云われている」という風にテロ集団を紹介していたと思うのだが、今回は「○○を行った……だ」とかなり断定口調だった。テロに関しては、歴史的背景や現在置かれている状況に限らず、「悪の側」とする方針がNHK内で出たのか、それとも単なるアメリカ追随路線が顔を出しているのか。