パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

ETV『新日曜美術館』「ヌスバウム〜あるユダヤ人画家の軌跡」

この番組は、大抵東京の方で行われる展覧会なんかと連動しているんだけど、今回のこれは何の同時代性もない。ネットで少し調べたところ、番組で縁の地を歩いていた徐京稙氏、『現代思想 』2001年6月号で『誰がフェリックス・ヌスバウムを憶えているのか?〜発見/再発見される「証言としての芸術」』(http://www.seidosha.co.jp/siso/200106/index.html)というのを書いている。また『週刊朝日百科』73号(http://www3.asahi.com/opendoors/span/sekaibun/backnum/s073.html)の「ホロコースト強制収容所」の表紙にヌスバウム画『ユダヤ人証明書を持った自画像』が使われ、徐京稙氏も『身を灼く恥』という文章を寄せている。このあたりをNHKのスタッフが読んで、特集を呼びかけたと思われ。番組で見た絵は若い時から作風が一貫しているようだ。彼のような思想が先にくる画家というのは、印象として「言いたいことが表現出来れば、流派なんてどうでもいいじゃん」という人が多い気がするのだが、意外に固定した絵画観を持っているような。ところが番組では「彼は亡命・隠れ家生活をしていたわけだから、既成の画壇とかと結びついていない」ことになっている。番組の構成上、ヌスバウムの軌跡が中心になるのは時間的都合としても仕方ないが、彼の作風がどこから来たのかについても知りたいものだ。ちょっと苦言、NHKのHPに「1940年、ドイツ軍がベルギーに侵攻。ヌスバウムは、ゲシュタポに捕えられ南フランスのサンシプリアン収容所に監禁される」とあるが、番組内では「ドイツ軍がベルギーに侵攻。ドイツ国籍を持っていたヌスバウムは、ベルギー政府に捕らえられ、南フランスの収容所に送られる」と言っていたような。全く逆じゃん。