パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS朝日スペシャル『戦争の国からきたストイコビッチの叫び(仮題)』

2001/11/6放送
「ピクシー追うのならもっと相応しいジャーナリストが何人かいるのに、何故金子達仁?」というグランパス・サポーターの嘆きはよく分かるが、あまり対象に寄りすぎた人間を起用すると、トルシエ田村修一のような関係になるので、金子氏くらいの距離感が民放の制作するヌルいドキュメンタリーには丁度良い。興味深い未公開映像という点から価値があったのは、94年来日直後のインタビューとか愛知限定のCM撮影のメイキングとか、ローカル局が保存している映像集くらいか。それからユーロ2000のピクシー・インタビューは面白かった。下手するとピクシーが一試合も出ないまま予選3試合でサヨナラ、の可能性もあっただけに「よく密着した! 感動した!」と言っても良い。スネジャナ夫人の「3人の子供よりも童心溢れる元モデルです!」感がすごく好きだ。少なくともユーゴ情勢に関して「ヨーロッパの高級紙って偉そうなことを書いているけど、実は偏見に満ちているんだ」ということに気付いた人がたとえ日本の一部だとしてもいるというのは、ほとんどピクシーのお陰であると言って良いだろう。一番気になるのは、ピクシーに不利な判定を出し続けた(と考えられている)ユーロから招待されてきたレフェリー達で、彼らは大抵本国では高い教育を受け、社会的地位の高い職業に就いている人たちなわけで、多分「人権」とか「ホロコースト」なんて単語に過敏なのも想像はつくわけだが、もし「あなたは何故ピクシーに対して露骨に不利な判定をしたのですか?」と聞けたなら、彼らが「私はいつだって公正だった」と答えるのだろうか、それとも「ああ、そうさ。あのくそったれセルビア人に不利な判定をして何が悪い!」と答えるのか。いわゆるヨーロッパ知識人の本音と建前というか、皮膚感覚の嫌悪感というか、そういうのを想像するのは難しい。「ピクシーに唾吐いてやる」って言っていたらしいユーゴ人K-1選手とはミルコ・クロコップクロアチア)しか考えられんな。