パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『NHKスペシャル』「サッカー移籍ビジネス〜過熱する選手獲得の舞台裏」

2001/4/1放送、撮影;前田泰次郎、取材協力;A.C.バーリ、取材;齋藤肇/大瀬順子/クラウディア・トリピチャーノ、構成;小川道幸、プロデューサー;野々上勝男、制作統括;橋本裕次/金子与志一
以下ホームページより

トップクラスのサッカー選手が移籍する時、数十億円にも上る移籍金が動く。イタリアなどヨーロッパのサッカー大国では、選手の移籍は莫大な利益をもたらすビジネスである。その「移籍ビジネス」を舞台裏で仕切るのがサッカー代理人。イタリアの代理人たちは、“金の卵”を発掘しようと、最近アフリカから大量の選手を呼び寄せ始めた。中には、悪質な代理人による少年選手の人身売買まがいの事件や詐欺事件も起き、イタリア社会に大きな波紋をもたらしている。EU(欧州連合)は、選手の移籍の自由を縛り、人権問題をも引き起こすこの移籍制度を問題視し、FIFA国際サッカー連盟)に改善要求を求めてきた。移籍のあり方を巡って揺れ動くサッカー界、一方で巨大マーケットとして成長を続ける移籍ビジネス。番組では、イタリアを舞台に、“青田買い”に翻弄される少年たちの現実と、今年1月ミラノで行われた“移籍市場”を密着取材、サッカー界の舞台裏を描く。

若い選手の青田買いに関してバーリのカッサーノを取材対象としたセンスは正しい。アフリカの未成年売買に関してガーナ・コートジボアールと取材し、再びカッサーノの移籍交渉が決着した処で終わり、と云う構成も素晴らしい。カルチョ・マルカートが言葉だけではなく実際にホテルで開かれていることも初めて知り、興味深かった。難点は移籍金の定義を曖昧にし、違約金や育成保障など必要経費の要求に対しても全てクラブを悪者にした見方はどうかと思う。また地元の若者とアフリカの若者では人身売買の度合が違うはずなのに一緒くたにしているのもどうかと思う。インタビューに答えるEU教育文化大臣ビビアンヌ・レディングが人権の保護者の様に振舞っているが、EU、FIFAUEFA、クラブ、代理人、選手全ての打算が渦巻く中で、勝ったものは正しかったと云うよりも賢く立ち回ったに過ぎないのだから。