パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『NHKスペシャル』「激動・地中海世界(2)〜さまよえるアルバニア人」

取材:なし、コーディネーター:芦田正人/アニーラ・ベルベリ/ドニカ・シャヒニ、構成:鶴谷邦顕、制作統括:桜井均/草川康之
以下、NHKのホームページより転載

バルカン半島のユーゴ情勢は複雑である。今回はアルバニア人の移動の足跡を追うことによって、今も続くバルカンの混迷の本質に迫る。15世紀、アルバニア人は英雄スカンデルベイに率いられてオスマン帝国に立ち向かい一時は国をつくったが、結局、帝国の軍門に下った。そのときイスラムに改宗した者たちが、コソボ周辺に住みついた。(それ以前、セルビア人コソボの戦いでトルコに敗れたが正教を捨てなかった。これがセルビアアルバニアの確執の始まりである。)そのとき逃げたアルバニア人は、南イタリアからシシリアに移り住みビザンチン風の宗教を今も守り続けている。そして鎖国社会主義を標榜し、宗教を否定してきたアルバニア本国は、冷戦終結後、経済破たんに見まわれ大混乱に陥った。これら3方向に向かったアルバニア人が再び結合を強め、周囲の脅威となりつつある。コソボは国際平和維持部隊が監視するが、しばしばアルバニア武装勢力セルビア民兵とのあいだで極地戦を繰り広げている。他方、鎖国アルバニアから南イタリアに渡り宗教に目覚める若者もいる。相矛盾しながら流浪するアルバニア人の歴史の場所をたどり、現在のバルカン情勢を浮き彫りにする。

1回目とは構成が全く変わり、市民の生活に迫っている。散漫な作りになってしまったが、おそらく中心はアルバニアから脱出し南イタリアの町ルングロへ移ったキリスト教徒の若者。ルングロは、500年前スカンデル・ベクが死んだ後、オスマン帝国の支配下に入るのを嫌ったキリスト教アルバニア人が築いた町で、今も3000人が住む。この若者はビザンツ時代の正教が今も残っているこの場所で生活する中で、修道士になりたいと希望する。彼は番組の終わりで、久しぶりの故郷へ帰り、コソボ正教会を訪ねてみたいと願うが、アルバニア人はセルビア人の建物をぶっ壊すから立入禁止と国連軍に阻止される。マクロよりミクロな視点、というのは実は好きではないが、1回目よりは人の心を引きつけるので好採点。(採点6)