パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

自分の事

確か1995年のラグビー・ワールドカップは、何故だかNHKがほとんど全試合を放送してくれて、独り暮らしを満喫していた大学3年の自分はかなり見た。その後、ラグビーはプロ化したり、○人制やら○人制に枝分かれしたり、放送がなくなったために遠い存在となったので、あれだけ短期集中的に見ることはおそらく二度とない。そんな思い出の大会で印象に残っている選手が、南アフリカ共和国RSA)のFBユベールだった。あの頃のラグビーの世界でもサッカー同様に身体能力重視化、高速化、組織化という流れが進んでいたのかは知らないが、確か当時でも「プレースタイルが古い」みたいなことを言われていた記憶がある。ユベールは最後尾でフラフラとボールを拾ってはフラフラとランしてパスして、という読みと判断力の権化みたいな選手だったと思う。当時のサッカーでいえばカドレツやオノプコ、今のサンフレッチェでいうと中島か。昔からこういうタイプが好きだった。そんなわけで『インビクタス』を観に行ったが、映画の中のユベールはごつい男だった。15年前の記憶なんてそんなもの。
スポーツ好きな観点から。観る前に2ちゃんのスプリングボクススレで、史実としてRSAを弱小扱いしているのはどうか、それだと決勝でNZに勝つ展開が逆に嘘くさい、そんな疑問も出ているのを読んだが、実際に映画を観ると、大会1年前にはチームはボロボロだったが、途中で監督コーチ陣を入れ替えている(そしてそこから立ち直ったことが推測できる)、ロムーに対してはダブルチーム、トリプルチームで潰すことで相手のリズムを崩す作戦を練っていたこと(そのためにフリーになる選手が出ても仕方ないと割り切る)が功を奏したように受け取れること、これらのシーンから快進撃も映画的にはそれほど不自然ではなかった。
映画好きな観点から。イーストウッドウィキペディアみたら、『許されざる者』以降、『パーフェクトワールド』、『マディソン郡』、『サバナ』、『目撃』、『スペースカウボーイ』と90年代の映画はほとんど見ているのに、『ミスティックリバー』以降のゼロ年代映画の中では『硫黄島』しか見ていなかった。よってイーストウッドに対する最近の「メッセージ色の強い独立系監督」という評価は自分には全然なくて、良い娯楽映画なこの作品に全く違和感はなかった。
国際政治好きな観点から。マンデラがロベン島から出てきた時に一番驚いたのは、今まで報道で見ていた人相と全然違っていたことだった。新聞の写真で使われていたのは、アイスキューブっぽい丸顔のギャングスターラッパー系の顔だったのに、出てきたら面長スリムなじいさんだったから。それはともかく、長年囚われて神格化された人間は表に出てしばらく言動を聞いていると結構がっかりさせられるものだが、マンデラほど期待通りに振る舞えた人はなかなかいないと思う。自分のカリスマを客観的に理解しつつ、それを発揮する場面をわきまえていた。ハベルとマンデラは、偶像・キャラとしての自分を第三者的な視点から眺められる才能を持つ双璧だった。そのうちに『マンデラの名もなき看守』も観てみようか。
いま個人的に90年代前半の楽しかった思い出に退避しようキャンペーン中で、この映画を観に行ったのもその一環。マイキャンペーンについてはそのうち書く。
(2/15追記)NZのハカのシーンが長かったけど、あれはやはり多文化融和の先達というイメージを出したかったのだろうか。あからさまというか不自然な印象を受けた。