パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

自分の事

この間見た『裁判員』は非売品のDVDしかないらしいのでモキュの所だけ保存しようとカットしながら見直していたが、たとえば弟が遅刻しそうになって玄関を飛び出していった後に姉が2階から降りてきて父親と話すまでのシーンでカメラを台所から動かさずに1カットで撮るからモキュが出ていない時間も切り難かった。デパルマかよっていう。登場人物がみんな合理的な行動しか取らないのは流石広報映画なんだけど物語に破綻はなくて、ちゃんとした映画制作システムで育ったちゃんとした映画監督が作っていることだけは分かった。

梶間俊一監督からは,次のようなお話をいただきました。「私はこの映画を単なる広報用映画として制作したつもりはありません。大人の成長ドラマとして制作しました。裁判員制度という一つの新しい制度を通じて,この映画の主人公たちは成長していきます。裁判員だけでなく裁判所の人たちも,法廷もこの制度を通じて変わっていくのです。皆さんにはこの映画の中でぜひその点をご覧いただきたいと思います」
http://www.saibanin.courts.go.jp/melmaga/bn070329.html

●梶間俊一監督
私が初めてシナリオを読ませてもらったときに,あっ,これはなかなか面白いと思いました。どうしてかというと,中年の村上さんが,最初と最後で成長して変わっていく。中年の親爺が自分の考え方を変えるということはそうないんです。ところが,この裁判員に選ばれることによって,中年だけではなく,前田愛さんのような若い人もいますし,その人たちも変わっていく。みんな裁判員に選ばれることをきっかけに人間が変わりうるんだという・・・といっても,人間簡単には変わりません。変わりにくいんだけれども,変わりうるんだという中年の成長ドラマにしたらいいんじゃないかとまず考えました。それと,もう一つ,そこにいる裁判官である山口さんとか,弁護人である浜田さんとか,職員である飯田さんとか,司法に携わる人たちもだんだん変わっていく,変わりうるんだということを確信しました。ということで,この映画を見ると,緩やかだが,みんな意識が変わることができるといった映画です。是非ご覧ください。
http://www.saibanin.courts.go.jp/topics/sisyakai.html

と監督が言う通り、当初「大の大人が裁判員をやっている暇なんてねえよ」と思っていた村上弘明が最終的には「仕事を部下に任せて2日間の裁判員を務めて良かった」と思い直すまでを丁寧に描いている。「仕事人間なんだけど良き夫良き父で法や社会制度の要請には出来る限り沿うのが市民の義務だと考えている」という主人公の設定が絶妙過ぎて、途中で心変わりする展開も納得出来るように仕向けられてしまう凄さ。まあ裁判員制度そのものを疑問視する良心的な人達からすれば、こういう基本は善良な市民だけど体制や制度そのものを疑うってことを知らない人が一番やっかいで、そういうやっかいなタイプを主人公にしている時点でこの映画も政府のプロパガンダってことになるのだろうとは思うが。