パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『BS世界のドキュメンタリー』「差し押さえの町で〜サブプライムローンの悲鳴」

2009/2/21初回放送、50分、コーディネーター:北村賢次郎、撮影:近森雅雄、取材:二木まさ美、ディレクター:加藤伸、制作統括:三浦尚/山元浩昭/吉岡攻、制作:NHKエデュケーショナル、制作・著作:NHK/オルタスジャパン
吉岡ディレクターのブログをみたら大統領就任式の日にワシントンにいたみたいだから、その頃の取材だと思われる。
「逆手にとる」は「さかて」だと思っていたが「ぎゃくて」なのか。勉強になる。
見始めでは「NHK-BSで何度も特番を放送しているのに、また一からサブプライムローンの説明をすんのかよ。内容被り過ぎだろ」と思ったけど、いわゆるウィキペディアでいうところの

最初は返済金に占める利子の割合が大きく、ここで返済額を抑えると元金がほとんど減らない状況もありえる。

という文章を実例に沿って説明されたのは初めて聞いた気がする。改めて勉強になったというべきか「じゃあ今までの説明は何だったの?」と文句をいうべきか。
一生独りでいる目処がついた30代独身男のために、月々3万円x20年=720万円で60歳前にはアパートの1室(6畳1間)を自己所有出来る物件とかないもんかね。ネットの線だけは完備。転勤に伴って所有権も交換可能なように同タイプの建築物を政令指定都市毎に用意。土地や建物が欲しいのではなく、賃貸でもなく、死ぬまで追い出されない空間所有権が欲しいというか。「家を買うのはゴールではなくスタート」という番組中のアメリカ人と違って、我々にはマイ住居に家財道具を買い足したい欲求があるわけでもなし、全部コンクリ固めの無個性な部屋で充分だから。それにしても番組内に出てきたメキシカン、庭にサボテン植え過ぎで笑った。

『Nスペ』「職業“詐欺”〜増殖する若者犯罪グループ」
2009/2/9初回放送、50分、取材:板倉弘政/木村真也/清水將裕/大井俊宏/三石泰行、撮影:青木直也、ディレクター:横井秀信、制作統括:海老原史/高山仁、制作・著作:NHK
有名になった「年代別個人金融資産(残高)」の円グラフをみた人ならば(見たことない人は要画像検索)、20代の人間が資産家の60〜70代のために年金を納め続けることに疑念を抱いても仕方ないし、不均衡を正す機能が政治や法にないとすれば、各々が不法に再配分を試みるのも仕方ないかもしれない。問題は、高齢者の資産は一部の人間に偏在しているわけで全員が金持ちなわけではないこと。不法な収奪は番組に出てきたなけなしの貯金を奪われた老夫婦のような誤爆を生むわけで、それを防ぐためにも公的機関による公平な富の分配が大切なんだけど、現状では機能していないと考える人が多い。金持ちから財産を奪って貧しい人に配る義賊の民話は世界中にあるけど、あれは富が豪邸とか小判とか目に見える形でとらえられた時代ゆえの話だろうか。あるいは昔から金持ちでもないのに間違って義賊に財産を奪われちゃった人だっているのかもしれない。
合法と非合法は真っ白と真っ黒じゃない。周りが真っ白い仕事で稼いでいると限り無く黒いグレーな仕事をするだけでも躊躇うものだが、周りが限り無くグレーな仕事で稼いでいると黒い仕事をするのにも抵抗がなくなってくる。現代の犯罪、特に経済犯罪は、通りがかりの老人をバットで殴って金を奪うような単純なものではないから、心理的抵抗は下がる。本当は「他人がやっているからOK」ではなく自分の良心に問わないといけないことは沢山あるのだろうけど。
結論としては、現代の合法と非合法は「礼節」の区分でしかなく、礼節を知るには衣食住が足りていないと難しい。いま「礼節を知る」で検索したらいろんなブログで「飽食なのに礼節が足りない現代は当てはまらない(怒)(嘆)」みたいな意見があって驚いた。資産を溜め込んで使わない高齢者も詐欺で稼いだ金を刹那的にキャバクラで浪費する若者も衣食に対する将来の不安があるからこそだと思うのだが。

BS1『地球特派員2009』「中東はどう変わるのか〜オバマ大統領への期待と現実」
2009/2/21初回放送、50分、特派員:大野元裕、スタジオ進行:中山俊宏、スタジオゲスト:高橋和夫、撮影:小林充輝、コーディネーター:春日雄宇/サベット・サーレム、ディレクター:四宮秀二、プロデューサー:藤枝融、制作統括:堅達京子/皆木弘康、制作:NHK情報ネットワーク、制作協力:パオネットワーク、制作・著作:NHK
いつもの『地球特派員』と同様にドキュメンタリーというよりは取材・報道・リポートの拡大版。普通にシリアとイラク(クルド)の現状を取り上げたニュース素材として取り上げれば充分意味があるので、無理矢理に今が旬のオバマと絡める必要はなかろう。そもそも、最近のNHKは「ブッシュからオバマに変わって万々歳」という前提でニュースを組み立てているのに、クルド人の「フセインから解放してくれたブッシュありがとう」なんて生の証言をとってくると、議論の前提が崩れてグダグダになるしかない。「世界を善悪二元論でしか見られない米国はクソ」と言いつつブッシュ/オバマを善悪二元論で語ってしまうNHKの大いなる矛盾。本当は主語を「NHK」ではなく固有のディレクター名にするのがドキュメンタリーウォッチを始めたそもそもの理由ではあるのだが、最近のブッシュ/オバマ報道に関しては主語「NHK」とするのが適切であると思う。