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パロップのブログ

主にTVドキュメンタリーを記録します

『証言記録 兵士たちの戦争』セカンドシーズン

7回シリーズ、各45分枠(実質43分)。基本的には地方局の制作。公式サイトはhttp://www.nhk.or.jp/bs/heishi/。初回はBS-hiで放送されたものを総合での再放送で見る。レイテ編については別枠で。

「フィリピン 絶望の市街戦〜マニラ海軍防衛隊」(2008/1/24初回放送、7/29再放送)
撮影:須田眞一郎、コーディネーター:篠沢ハーミ、ディレクター:金本麻理子、プロデューサー:池田敏郎、制作統括:北川恵/大野了、共同制作:NHKエンタープライズ、制作・著作:NHK/バサラ
2007/8/5初回放送の『ハイビジョン特集』「証言記録 マニラ市街戦〜死者12万 焦土への一ケ月」の再編集版。海軍防衛隊自体が寄せ集めなので、どこの地方というわけでもなく、よって中央の制作。

ガダルカナル 繰り返された白兵突撃〜北海道・旭川歩兵第28連隊」(2008/3/26初回放送、7/29再放送)
撮影:小早川康、ディレクター:福井徹、制作統括:阿部正敏、制作・著作:NHK札幌

ニューギニア ビアク島 幻の絶対国防圏〜岩手県・歩兵第222連隊」(2008/6/30初回放送、7/30再放送)
撮影:堤政和、ディレクター:菊池雅典、制作統括:小林尚志、制作・著作:NHK盛岡
ナレーションが強過ぎて、証言そのものに語らせていないのが残念。

沖縄戦 住民を巻き込んだ悲劇の戦場〜山形県・歩兵第32連隊」(2008/4/30初回放送、7/30再放送)
撮影:村田薫広、ディレクター:佐藤匠、制作統括:木内康司、制作・著作:NHK山形
タイトルには「山形県」とあるが、オープニングのナレーションでは「山形/北海道/沖縄の混成軍」と紹介されていた。実際インタビューに登場した人の中には、比嘉や照屋といった沖縄出身者と思われる姓もあった。
撮影/ディレクター/制作統括が、昨年11月にBS1で放送された『世界を見つめる8日間〜山形国際ドキュメンタリー映画祭』と同じセット。NHK山形で硬派な番組を作る時はこのセットなのか。

ペリリュー島 終わりなき持久戦〜茨城県・水戸歩兵第2連隊」(2008/5/26初回放送、7/31再放送)
撮影:野瀬典樹、取材:太田宏一、ディレクター:誉田朋子、制作統括:山本展也、制作・著作:NHK
エンドクレジットを見ると、どうやらこれも中央制作。字幕で「〜だっぺ」をそのまま書き起こしているセンスは良い。臨場感がある。意味が通るように要約してニュアンスが消える字幕は駄目。流石は本局と思ったが、逆にいうと茨城には制作能力のある支局がないのだろうか。それともペリリュー島編を膨らまして制作した『Nスペ』でもあったのだろうか。
派兵1万人のうち生きて投降したのが34人。そのうち番組に出て証言した人が6人というのはかなり多い。

インパール作戦・補給なきコヒマの苦闘〜新潟県高田・陸軍歩兵第58連隊」(2008/7/28初回放送、7/31再放送)
撮影:板倉達也、リサーチャー:中里雅子、ディレクター:山森英輔、制作統括:秋山泰治、制作・著作:NHK新潟
ナレーションで「奇妙な訓練を命じられていました」と自分の価値観を入れてはダメ。証言者の「全くあれは奇妙な意味のない訓練だったなあ」という体験のコメントを繋ぐだけなのに重みと凄みを感じるからこそ、このシリーズの意味があるのに、制作者が「奇妙な訓練」とか「誤った作戦」とか定義したらダメ。他にも作戦上では部隊が60必要だったのに実際は14しか用意されなかったというエピソードで「5分の1」とナレーションしてたけど、「60分の14」は普通「4分の1」だと解釈するだろう。そこで数字のマジックを使って「陸軍はひどいんですよ」と誘導しなくても、きちんと証言を積み重ねていけば陸軍がひどいのは充分伝わるから。という勇み足が気になった。

『Nスペ』「果てなき消耗戦〜証言記録 レイテ決戦」
2008/8/15初回放送、60分、資料提供:浅見勇一/飯村豊/中野聡/松本実/武藤法夫/山田朗/吉田裕 他、取材協力:青木和子/相原公郎/明平秀一/阿部顕瑞/阿部孝雄/荒哲/岡田泰平/小石澤正/重松正一/杉本逸治/竹見智恵子/寺嶋芳彦/永田勝美/成島良二/牧野弘道/山下伸一 他、撮影:堀内一路/関裕一/入江領、コーディネーター:柳原緑/村山幸親、取材:太田努/誉田朋子、ディレクター:太田宏一/井川陽子、制作統括:山本展也/塩田純/藤田英世、制作・著作:NHK
恐らく『証言記録』シリーズの「フィリピン・レイテ島 誤報が生んだ決戦〜陸軍第1師団」(2008年2月28日放送)に、米人・フィリピン人の証言を加えて再構成したもの。なので、『証言記録』シリーズの再放送がなかったと思われる。

思いが込み上げてくる瞬間とは、涙のスイッチが入る瞬間とは、を想像する。一度も誰にも話した事のなかった戦場の光景、毎日瞼の裏に浮かんで忘れた事のない光景。インタビューを引き受けた当初は、当人は毎日思い出している光景だから、他人にも冷静に説明出来るはず。そう考えていたけれど、いざ実際に話し始めてみたら、日々見ている光景に自分でナレーションを入れているようなものだから、思わず感情のコントロールを失う事態になってしまう。恐らく頭の中で光景を回想するのと、言葉に出して光景を説明するのは、脳味噌の機能が少し違う。という想像。
ナレーションの中で「生存率は5割」とか「4000人のうち生きて帰ったのは300人でした」とか言われても、平均的な戦死者率を知らないのだから、どのくらいひどかったのかよく分からない。この国では戦後そういう軍事史的な知識が基礎的な教養から外されたのだから、ちゃんと説明しないと。このシリーズで取り上げるのは、多くが自他ともに認める勇猛果敢な部隊で、それがひどい作戦に参加させられて悲惨な最期を迎えた例だけど、比較して「うちは大本営から期待されていなかったから厳しい戦場には派遣されなかった」「部隊の9割近くが帰国した」というような部隊の取材が1つくらいあっても良いと思う。それをやると戦争の悲惨さが伝わらないと言われそうだけど、全体像を示さないと逆に生存率3パーセントとか上陸1週間で半数が戦死とか言って悲惨さを数字で示しても視聴者に伝わらないと思う。