パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

医療ニュースクリッピング

実家の母親が一週間ほど入院したので、無職暇人の自分が送迎係を仰せつかり、倉敷と岡山と病院の間をウロウロしていた。検査入院説と投薬治療説、10日間説と20日間説、入り乱れたが、早めに終わって良かった。さすが中核病院というか、正面入口にコンシエルジュみたいな職員が立っているし、医療事務職員の制服はオサレだし、個室はまるでホテルのようだ。死の臭いが全くしない、ストレッチャーに載せられて運ばれる爺さんとか廊下にゴロゴロしているにもかかわらず。元気な妊婦さんがこんなところへ入院して亡くなって戻ってきたら、そりゃあ訴えるのも無理ないと思った。主治医が若い女医さんだった。氏名で検索したらシニアレジデント1年目(多分4月から2年目)だった。最初に検査結果をみた医者と今度の女医さんと診療部長の治療方針が微妙に違う上に、結局主治医の意見が通ったらしいので、あからさまに疑心暗鬼になっている母には内緒にしておく。女医さんは訛りが九州(自分の見立てでは長崎)っぽくて可愛かったが、最先端医療の豊富な症例にひかれて田舎から出てきたに違いない、などと妄想するのも楽しい。

大淀の事件が起きた頃、自分は前の職場を辞める直前、新人への引き継ぎも終わって「何か分からないことがあったら聞いてくれ」と言いながらネット三昧の日々だったので、ニワカ医療崩壊通になった。親はたっぷり厚生年金も支給されるし、どうせ自分が年取った頃には高度な医療に掛れないだろうし、結婚も出来ないだろうし、子供を持つ事もないだろうし、と考えている団塊ジュニアとして、逃散とか立ち去り型サボタージュとか心の僻地といった用語を覚え、傍観者のように面白がっていたが、上に書いたような現実世界の出来事に遭遇すると、途端にへたれる。もちろん、共働きしながら子供2人を毎朝保育園へ送迎し、週1回は70歳近くになった親を病院まで送迎して、とリアルワールドで立派に活動されている30代の方々も大勢いらっしゃるのだろうが、団塊ジュニアは総じて現実世界で弱そう。まあ、何というか、こういう問題に対しては親が老いたとか結婚したとか子供が出来たとかで意見が180度変わるんだろうなあという気はした。核家族育ちの自分なんかだと「80歳とか大往生じゃん。静かに逝かせてあげれば」と軽く思うけど、毎日一緒にいるため逆に変化に疎くなる三世代同居家族なんかだと「おじいちゃんはまた元気になるんじゃないか、在りし日のように」と期待しても、おかしくはないのかもしれない。感覚に個人差があり、なおかつ心が日々移り変わる問題で社会的合意を得るのは難しい。
良い機会なので、いつかネタにしようと思ったまま放置した医療関係のニュースをまとめて放出。

1. 早期発見・治療で安心の医療を実現します。診療報酬改定プロセスの透明化を進めます。
受診抑制を解消し、早期発見、早期治療を促進するためにも、平成18年の診療報酬改定時点で、健保本人の医療費自己負担は2割に引き戻すとともに、医療制度改革、高齢者医療制度改革を進めます。また、診療報酬改定時には、薬、医療材料、医科点数、歯科点数、訪問看護等についてのデータや価格データの公表を行うとともに、パブリックコメントに付すこととします。また、診療報酬改定作業を行う中央社会保険医療協議会の委員構成を診療側、支払側、公益側(患者側を含む)それぞれ同数とし、その議事録を公開します。これらの改革は平成17年度から順次、進めます。
2. 350カ所の小児救急センターを整備し、小学校卒業までの医療負担を1割に軽減します。
小児救急医療体制を整備し、政権獲得後3年以内に、全国で350カ所以上の小児救急センター病院を指定して、いざという時の受け入れ体制を確立します。また、小児医療に関する診療報酬の適正化をはかる一方、健康保険における小児医療の患者負担を、3歳未満については2割から1割へ、3歳から小学校卒業年次までは3割から1割負担へと軽減するため、平成17年度までに改正案を国会に提出します。必要な国の予算は約450億円と見込まれます。国費については冗費の振り替えで行い、健保については財政状況に配慮します。
3. カルテ開示・医療費明細書発行の義務化を実現するとともに、医療事故の防止に取り組みます。
患者と医師の信頼関係と協力をさらに良好なものとするため、患者に対するカルテの開示と医療費明細書の発行を義務付ける法律案を国会に提出します。また、第三者機関への医療事故報告の義務化等、続発する医療事故・医療ミス防止対策を強化します。
〈2003年衆院選 民主党マニフェスト〉より

小児科・産科医をはじめ医療従事者不足を解消
日本の医師数は人口10万人あたり200名です。OECD加盟国平均の290名とするためには、約10万人不足しています。特に小児科・産科医不足は深刻です。20代の医師は毎年男性が100人減り、女性は350人増えていますが、小児科・産科の女性医師の半数が妊娠・出産・育児を機に病院勤務をやめざるを得ない状況におかれています。看護師は1病床あたり欧米の3分の1から5分の1の人数しかいません。しかも過酷な労働条件のため、新規就職者の1割近くが1年でやめています。女性医師や看護師が働き続けられる支援策が最優先です。院内保育所の整備や復職のための研修の支援等を進め、女性医師や看護師が仕事を続けやすく、復職しやすくします。
小児科では開業医が地域小児科センターで時間外外来を担当するといった協働作業による集約化をさらにすすめます。産科医は勤務が過酷なだけでなく、訴訟リスクなども高いことから、無過失補償制度と医療事故原因究明のための医療安全委員会を設立します。
特定機能病院では先進・先駆的な医療開発とともに、専門医教育・研究者養成を行います。地域がん診療拠点病院では国立がんセンターと協力しつつ、化学療法専門医・放射線治療専門医を養成します。臨床研修病院ではより専門的な能力を高めるための研修を担い、優秀な臨床医を育成します。
医療費抑制と称して10%削減された医学部定員を元に戻し、地域枠、学士枠、編入枠とします。各診療科の必要医師数を明示し、医療圏ごとの数値目標を提示します。
良質なチーム医療の実現のため、各学会等の認定資格制度等を活用しつつ、看護師や薬剤師などの専門教育を支援します。
〈2007年参院選 民主党マニフェスト〉より

こうして民主党マニフェストを比べてみるだけで、たった4年で「医療従事者を大切にしないとまずいんじゃね?」という認識が広まったことが分かる。2003年頃は小泉人気に迎合して「お客さまは神様です」路線だったのに(いかに生産者/労働者を締め上げて消費者の御機嫌をとるか競っていたあの頃が懐かしい)。個人的には、政党がその時その時の世相でコロコロ意見を変えるのには大賛成。逆にいえば、政治家なんぞにポリシーを持たれても面倒だし、百年の計を立てられたところで要らんお世話。

868 名前:卵の名無しさん メル:sage 投稿日:2007/09/15(土) 17:13:42
自由診療は医師の天国か?
産科は天国ですか?
871 名前:お増健さん ◆0ZOKENdh0E 投稿日:2007/09/15(土) 17:24:09
>>868
産科は自由診療とは言うが、事実上価格は縛られてるだろ。
ごく稀に「セレブ産科」はあるけどね。
そんなわけで全てが自由診療になっても事実上価格は縛られて、天国にはならんだろうな。
872 名前:卵の名無しさん メェル:sage 投稿日:2007/09/15(土) 17:36:04
>>871
 カネよりイヤな患者を断れるほうが大きいと思うなあ。
 例外は少なくなかろうが、一般にカネのない層ほど、DQN含有率が高い気がする。
 治療費を上げることで、そういう層をシャットアウトできることが大きい。
 ....っても、今でもナマポお断りの病院がまずないってのは、そういう層お断りにすると、経営に響くってことかな。
873 名前:卵の名無しさん 投稿日:2007/09/15(土) 17:42:15
>>868
公的病院のせいだね。勤務医の時間外手当てを踏み倒し、医師の補充もできない
ような経営状態でも決して分娩費用を上げない。
その結果、医師の過労死頻発・訴訟続発して医師も居なくなる。
874 名前:お増健さん ◆0ZOKENdh0E 投稿日:2007/09/15(土) 17:44:33
>>872
今の制度ならナマポはお客様だかんなあ。
うちも四人診てるけど、インスリン自己注射中とか、在宅の訪問診療とか、オイシイとこばっかだもんな。
876 名前:卵の名無しさん メェル:sage 投稿日:2007/09/15(土) 18:19:33
>>873
考えが根本的におかしいんだよ、奴らは。市民のためにと価格を赤字ぎりぎりまで引き下げ、
それでいて数少ない産科医に売上増や全救急対応、最近では接遇向上まで求めるから、
産科医が逃散する。いや、全科同じだな。民業圧迫、公立ダンピングという言葉を思い出した。
医療法だったか何かで、民間病院が充実した地域の公立病院は解散する筈だと思うのだが。
878 名前:卵の名無しさん メェル:sage 投稿日:2007/09/15(土) 18:26:13
>>876
つまり、公立病院で寿命を削ってる奴隷医たちは
民業圧迫、公立ダンピングのために頑張ってるわけだw
879 名前:卵の名無しさん メェル:sage 投稿日:2007/09/15(土) 18:27:40
>>876
 公的病院の存在理由として、"不採算医療を行うため"ってのがあるけど、これっておかしいよなあ。
 日本では、医療のネダンは国が決めて、そこで公立/民間が並存してんだよ。
 もし、必要な医療があれば、それが不採算にならないだけの最低限の点数つけりゃ、民間が喜んでやる。
 何も、効率の悪い公的病院にやらせる必要はないんだ。
 地域的に不採算になるというのなら、地域によって保険点数を変えてもいいと思うんだけど、どうなんだろう。
883 名前:卵の名無しさん メェル:sage 投稿日:2007/09/15(土) 18:51:19
>>879
現在の日本では僻地民間病院に補助金を出す、診療報酬を別体系にする
(患者負担は同程度)などすれば公立病院の存在意義は無いのだが、
医療法制定時にはまだ十分なインフラが整っておらず、民間にも資本が無いから、
地方自治体が公立病院を建設してもよい事になっていたと聞いた。今は建設業を食わせ、
コメ、パラを養うだけの存在となっている。それと、仕えないコネ採用公務員の出向先。
厚労が僻地公立病院を潰すのに躍起になっているのは、実は法に基いた真面目な行動で
あるかもしれないぞ。この診療報酬減額の試練を耐え抜いた民間病院は、意外と明るい
未来が待っているのかもしれん。そんなわけないか。

岡山市民病院 あり方検討会議が報告書/一部委員「意見反映されず」
経営難に苦しむ岡山市立市民病院(岡山市天瀬)の今後の姿を議論していた市の内部組織「市民病院あり方検討専門会議」(議長=難波巧・市企画局長)が報告書をまとめ、公表した。しかし、報告書に病院新築を前提とする黒字化の構想などが含まれていることに、同会議の医療関係の委員が「納得していない内容でまとめられている」と反発、近く市に報告書から氏名の削除を申し出ることがわかった。
氏名の削除を求めるとしているのは角南義文・竜操整形外科病院長。山本泰久・おおもと病院名誉院長も同様の対応を検討している。
同会議は2007年7月に設置され、市財政局長、市民病院長ら市側の5人、外部から病院長ら医療関係者4人、アドバイザーとして公認会計士や大学准教授ら3人を迎え、計7回の会議を重ねてきた。
最終回の2月12日、市側が委員に示した報告書案では、病院を独立行政法人化し、岡山大と連携しながら救急医療や一般診療を行うとしたほか、新築しても一定の条件下で9年後には黒字化するなどとしていた。
角南、山本両委員によると、この案に対し、2人は「新築すべきでない」とした上で、「黒字化は非現実的」と批判したという。さらに、角南委員は「救急医療に特化すべきだ」などと意見を述べており、「意見がある程度反映された報告書がまとまると思っていたら、反映されないまま発表され驚いた」と話す。(後略)
(2008年2月28日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okayama/news/20080227-OYT8T00682.htm?from=goo

「民間が経営しても確実に赤字で進出してこないから最低限の医療だけは自治体で」という僻地なら、赤字覚悟で公立病院を維持するのは分かるけど、大学病院をはじめ高度な医療を行える病院がそれなりに揃っている岡山市で市民病院を維持すべき理由がよく分からない。素人ながら「いまさら黒字になるわけないし、救急医療だけにしろ」という一部委員のいうことの方がもっともだと思う。建替えの無理強いは建設業界からの圧力なのだろうかと思いつつ、実際に岡山市立市民病院へ近付いてみたら、その老朽化っぷりにドン引きするのも事実。

2006/10
【ナレーション】マキは片道1時間近くかけて、電車とバスを乗り継ぎ、助産院に通っていた。
【ディレクター】なんで、こんな遠い所の助産婦さんを選んだの?
【K】やっぱり、ずっと私の体とか、そのーどういう風に子供を生まれてきて育てていくか、というのを、なんか、一本線でずっと見てくれてる人が欲しいなあと思って、それで助産婦さんを(探した。で)そういう、下手したら思春期くらいまで、子供の思春期ぐらいまで関心を持っている人がいないかなあ、というのを、ちょっと探してて、そしたら、そのー、京都では今から行くそのーあゆみ助産院っていう所の左古(かず子)さんは、すごいそういう意味では話してはることとか書いてはるやつを読んだら、「あっ、この人はすごい信頼出来る人だな」と思って。
【ディレクター】近所ではそういう人はいなかったの?
【K】そうそう、いなかったの、うん。あのー、みんな病院に行くのね。
(中略)
2006/12
【テロップ】京都医療センター
【ナレーション】臨月に緊急入院したマキは12月9日、助産院ではなく病院で女の子を産んだ。
〈2007年4月26日放送『ハイビジョン特集』「シリーズこの国を見つめ 男と女の民主主義」〉より

Kさんは、大学で文化人類学を学び、東京でドキュメンタリーをつくる仕事に就き、京都でシングルマザーになる決意をした女性。撮影ディレクターはKさんの元上司。現代医学を馬鹿にし切っている感じは映像を見ないと文字だけだとなかなか伝わらないと思うが、番組内の御二人に含むところはない。2006〜2007年頃の空気が反映されている貴重なドキュメンタリーとして記録。「高学歴で時代を切り取るのが仕事である映像ドキュメンタリー作家レベルでの医療に対する現状認識」という時代の記録。