パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

CS「第19節・名古屋グランパス戦」

2007/8/12、広島ビッグアーチ、実況:大庭荘介、解説:遠藤雅大

現地で見ていると、特に前半は、片方が最後尾からゆっくりと攻め、もう片方はボールを奪取することに全力を傾け、奪うと攻守を入れ替えて同じリズム。詳しくは知らないがアメフトのフォーメーション練習を見ているかのようだった。
同じ3-5-2同士、中盤は大方の時間で青山×8番の韓国人、浩司×山口慶、柏木×藤田。青山対韓国人はどちらも荒っぽいのでもっとやり合うかと思ったら、意外とさわやかな争いだった。戸田的に3バック相手の方がやり易いのは、両サイドの1対1で優位に立てることが多いからだと思うが故に、試合前予想ではサンフがサイドで圧勝すると思っていたのだが、この試合の駒野対本田は完敗だったような気がする。駒野が相手陣地深くでボールを持ったのは、4分カズのインターセプトから駒野〜ウェズレイ、10分左サイドの浩司がサイドチェンジ、25分柏木〜寿人〜駒野〜柏木で最後はウェズレイに通らず、くらい。後半はほとんど無し。試合後のコメントだと共通して「サイドを使えなかった」と言っているが、実際には駒野がボールを出し難い位置にいた感じもあった。まあ足元で受けてから本田と阿部くらい抜けよ、ということかもしれないが。本田が内側にポジションをとることが多くて掴まえづらそうだったし、というか本田と直志の両アウトサイドはミシャが好きそうな中盤的アウトサイドだと思った。
レフェリー云々は置いて、前半を見る限りではあまり攻守の切り替えがうまく回っていないように感じた。原因は前述の駒野と柏木だろうかと。柏木は以前より攻撃に専念し過ぎではないか、藤田のところにあまりプレッシャーをかけないではないか、疲れがあるから攻撃用に力を温存しているのか、そんな風に見ていたのだが、試合後の本人のコメントを読むと、わざと1本のパスで得点に近付けるようなポジション取りをしていたようだ。確かに名古屋の定位置をあまり崩さない機能美サッカーは藤田をフリーにしてパス出し屋にしておいても、受け手の動きも読みやすいのであまり怖くない部分があるし、確かに阿部や大森がボールを持って上がって来た時は柏木も全力でプレッシングをしていたし、素人がとやかく言うまでもなく、分かってて駆け引き出来る戦術眼を持っているのだろう。そう考えるとますます、今のサンフは下手なポゼッションを目指すよりも前の3人のアイディアと呼吸で得点を狙うカウンターの方が向いていると思わされる。
寿人は「攻めの人数が足りない」というが、くさびに入れたボールをウェズレイありきのヒールで落として相手に奪われたら、そりゃあ人数も増えないし、戸田がいう「攻め急ぎ過ぎではないか。即チャンスに直結するパスだけでなく、ただ繋ぐだけのパスもあっていい」の方が理解出来る。そもそも中央から中央から、になってサイド攻撃が出来なかったというよりは、中央で溜める時間がなくてサイドに展開出来なかったように見えた。ただウェズレイからチャンスメイク仕事を免除してやればストライカーらしいストライカーのシュートを打ってくれるみたいだし、寿人は寿人で結果には繋がらなかったけど、ゴール前までの流れがなかったわけではない。ポストプレーもサイド攻撃もなかったけど、それで攻め手がなかったというわけでもなく、そこそこチャンスも作っていたので、これがまた逆に評価に困る。
1失点目はU20ワールドカップの日本戦でチェコ代表の6番が槙野に外されたのと同じくらい、槙野がひどいマークの外されっぷりだった。
2失点目は遠藤氏が間髪入れずにPKだと言うくらいだからそうなのだろう。それよりも右サイドでフリーの山口慶にボールが渡り、一番近い槙野がマーカーを放して対峙せざるを得ない状況が生まれた瞬間、弧を描いてファーに逃げてクロスを待つ準備をしているヨンセンに「巧」をあげたい。あの場合、ヨンセンの立場になると、槙野の裏を取りつつ、山口から確実にショートパスがもらえる位置に近付いて、パスをもらったらマイナスのクロスを上げる側に回ってしまいそうなものだが、あくまで中央でクロスを待つ側に回れるような動きをするのが素晴らしいと思った。
3失点目はバクスタの座っているところがちょうどライン上だったので、駒野へのファールは分からなくともボールが出た瞬間オフサイドだと思った。あまりにも明白だったので、「サンフの選手に当たってたりして」と推測したくらいだ。
3失点目の後、激昂しているミシャを見ながら「退席になるのもよし」と思っていた。毎試合ピッチサイドで声を出すのもよいが、たまにはスタンドから俯瞰して試合を眺めてみてはいかがだろうかと。案外、面白い発見があるかもしれないし。
改めてテレビで見ると戸田は後半の始まり頃から珍しいミスキックをしているみたいなので、単なる足つりではなくて故障が発生していたのかもしれない。
3バックの1枚を削って中盤に1枚増やす時の交代は、たいがい盛田outだったのだが、カズ>盛田だけど、槙野>カズという評価なのか、たまたまコンディションが悪いカズを外したのか、分からない。それからカズ→ハンジェの交代は、いつかの試合でやったごとくハンジェをサイドバック、駒野をその前に入れてクロスマシーン、なのかと思ったら違った。なかなか監督の腹は読めない。ところで、J'sgoalのナカノンレビューを読んだら、ほとんど同じ見方だった。監督とイメージシンクロするのはアリだが、取材者と同じ思考になるのはまずい。

そろそろ降格圏も見えてきて、昨年のごとく「仕事」モードにやり方を切り替えるのならば、ストヤノフ加入のタイミングがよさそうだが、これで案外、戸田の位置にストヤノフ、青山の位置に戸田、という変化だけだったら、サポーターの暴動が起きそう。あくまで個人的な希望としては、
・・ウェズ・・寿人・
・・・・柏木・・・・
・浩司・戸田・青山・
服部・槙野スト・駒野
・・・・下田・・・・
こんなので攻撃は前の3人に任せるカウンターサッカー。