パロップのブログ

主にTVドキュメンタリーを記録します

8月のお薦めドキュメンタリー

このダイアリー自体は読んでいる人が少なくても、こうしてブログに書けば検索やら何やらで案外と情報が流通するものらしいので、愛読する『デジタルTVガイド』を参考にしながら、NHK公式サイトも眺めつつ、個人的に気になるやつをピックアップ。
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8月は戦争に関するドキュメンタリーが多く放送される時期。その中でも最大の注目は『ハイビジョン特集』の3点。いずれも110分枠で、5日「証言記録 マニラ市街戦」、10日「裁かれなかった毒ガス戦〜アメリカはなぜ免責したのか」、12日「満蒙開拓団の戦後〜再入植の記録」。1番目はフィリピンでの戦いは取り上げられることが少ないので良い着眼点。2番目は地上波で放送すればネット上の「遺棄毒ガスは接収した中国側の責任」「遺棄毒ガスはソ連が捨てたもの」派がいきり立ちそうな話題だが、ハイビジョン放送だけだとどこもスルーしそうで残念。3番目は昨年の今頃に放送された満蒙開拓団の続きと思われる。日本に帰国してからどうなったのかまでを継続して取材したのは素晴らしい。「証言記録 マニラ市街戦」はBS1でも16日に『BS特集』枠で放送される。枠がBShiより10分短いので全く同じ内容ではなく、何らかの編集がされるだろう。
また、BShiでは45分枠の7回シリーズで『シリーズ証言記録 兵士たちの戦争』という番組も制作されるらしい。てっきり上に書いた3番組を取材する過程で得られたけれど番組内で使わなかった証言を流用したスピンオフ番組かと推測したのだが、番組制作者のブログ(http://www.nhk.or.jp/sengo62-blog/)によると、これ用に各地の地方局が頑張ったようだ。詳しい内容はサイトにもないので、『デジタルTVガイド』から以下に引用。

12日、西部ニューギニア 死の転進〜千葉県・佐倉歩兵221連隊
13日、マリアナ沖 失敗した新戦法〜三重県鈴鹿海軍航空隊
14日、北部ビルマ 最強部隊を苦しめた密林戦〜福岡県・久留米第18師団
20日、退却支援 崩壊したビルマ戦線〜福井県敦賀歩兵119連隊
21日、大陸打通作戦 苦しみの行軍2000キロ〜静岡県・歩兵34連隊
22日、陸の特攻 フィリピン最後の攻防〜岡山県・歩兵10連隊
23日、ソ満国境 知らされなかった終戦〜青森県・野砲兵107連隊

毎日見ると精神的に消耗しそうだが、内容に期待。制作の進行状況を伝えるブログの更新にも期待。
『Nスペ』は7日「アメリカ秘密尋問所「トレイシィ」〜GHQの占領施策を生んだ5000頁の調書(仮)」、13日「A級戦犯は何を語ったのか〜東京裁判・尋問調書より」、14日「東京裁判 パール判事の真実(仮)」辺りが戦争特番。これまた右翼が頼りにしているパール判事の言動に違う角度から光を当てて「日本は悪くないよ」派を論破してやろうという挑発的な番組であることを期待したい。誰かを挑発しなきゃドキュメンタリーじゃない。と思ったら、まさに「右翼はパール判事の一面だけを切り取って利用しているよ」という本が出ているようだ。これがネタ本だろう。大いに期待。

パール判事―東京裁判批判と絶対平和主義

パール判事―東京裁判批判と絶対平和主義

ETV特集』も骨のあるドキュメンタリーを用意している。5日「“屍(しかばね)の街”からの叫び〜被爆作家 大田洋子と戦後」、12日「城山三郎・「昭和」と格闘した作家(仮)」。
日本の戦争を離れると、8〜10日まで3日連続でBS1『ドキュメンタリードラマ ニュルンベルク裁判』(55分×3)がある。BBCが2006年に制作したドラマということでエンタメとしても期待出来る。シュペーアゲーリング、ヘスの裁判過程をそれぞれ再現。17日には『BS世界のドキュメンタリー』枠で「実録 ニュルンベルク裁判」(50分×2)もある。東京裁判ネタは自前で制作し、ニュルンベルク裁判は当事国から借りる。ということは、NHKが制作した東京裁判ものが海外で放送されるケースもありそう。
『BSドキュメンタリー』枠では19日に「“丸刈りの母”の子、63年目の父親探し〜ナチと占領フランス「戦争の落とし子」達の戦後(仮)」が放送される。
戦争関係以外では、20日放送予定のBShi「エリツィンゴルバチョフ〜30人の当事者が語るソ連邦崩壊」が楽しみ。物語を紡ぐ能力にかけては群を抜くNHKロシア班が気合を入れて制作してくれることに期待。
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以下、余談として最近ちょっと腹を立てていることについて。
7/1にNHK-BS1で再放送された『BS世界のドキュメンタリー』「ダーウィンの悪夢」をみた。「ナイルパーチ」(Nile Perch)を「ナイルバーチ」だと勘違いしていたことに気付く。ちなみに後者で検索しても結構ヒットするので、ありがちな字幕の見間違いであるといえよう。自分が気付いたのも、現地住民が訛って「ナイルピーチ」と発音していたのが耳に引っ掛かったからで、テレビの字幕をじっと睨んでもなかなか「パ」と「バ」の区別は付かない。耳から得る情報は馬鹿に出来ない。この例は「やっぱ、ワルそうな魚は半濁音より濁音だよね」という人間の深層心理を表すようで興味深いが、上記のような間違いそれ自体はたわいもなく、腹を立てることもない。
たとえば最近でも、憲法は押し付けじゃない論云々に出てきたベアテ・シロタ氏を、日本語が堪能であることとその名字から日系だと勘違いして書いている人がいた。他にアフガニスタンの州名パクティアをバクティアと書いている人もいたが、これなども字幕でしか情報が発信されず、耳から情報が入ってこないのだから仕方ない。そもそも所詮はテレビドキュメンタリーなんて洗い物をしたりトランプをしたりしながら注意力も散漫にして見るのが普通だ。もちろんブログに感想を書くくらいの人はもう少し熱意を持って見ているのだろうし、もう少し意識を高く持って欲しいが、だからといって自分のように録画し、一時停止してメモをとりながら見て、それでも確信が持てない場合は数通りの表記で検索してみるような頭のおかしい人間になれとも言い辛い。ずっと記録が残るネットに誤記、誤字/脱字を広めないでくれよ、と言いたい気持ちもあるが、見知らぬ人のブログにいちいち訂正を求めるコメントをするわけにもいかないし、そこは寛容でありたい。
腹が立つことはその先にある。そうした間違いが書いてあるブログに、続けて「この番組を見て憲法が押し付けでないことがよく分かった」みたいなことが書いてあると、いかがなものかと言いたくなる。たかが45〜90分のテレビ番組で何が分かるのか。ろくに耳も傾けていないテレビ番組で何が分かるのか。そもそもテレビは映像で感情に訴えるのは得意だけど、論理的に説明するのは苦手なんだよ。テレビは「A案の紹介に15分、B案に15分、C案に15分、残り5分で比較してA案の優位を説明」みたいな並列の関係を扱えないんだよ。先に紹介したことをみんな忘れちゃうから。「Aが起きたためにBが起き、Bが起きたためにCが起きた」みたいな連続した単線のストーリーしか描けないんだよ。そんな単純明解ストーリーを頭から信じるなよ。関連する新書の1冊でも読んでみろよ。表記の間違いなんかしなくなるはずだよ。そう言いたくなる。