パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

全日本女子ユース・準決勝

2007/1/7、桃スタ

昨年の大晦日以来、昼間から作陽の試合を5試合見て、実家では映らないBS日テレの全日本女子決勝を録画で見て、と無職ライフを満喫しており、サッカーはお腹一杯になりつつあるものの、ハロプロヲタかつサカヲタな吉備団子人としては、地元で行われる女子U-18の公式戦をスルーするわけにはいかない。とはいえ、久しぶりにまともな時間帯に起きてカーテンを開けてみれば、粉雪が舞って白く染まっていた。チャリで向かうのは厳しいが、昨晩、公式記録のPDF(http://www.okayama-fa.or.jp/07joshiyouth.html)で選手名と背番号が一致するようにメモ書きまでしたので後にはひけない。スタジアムでは電光掲示板にスタメンが表示される親切っぷりで、結果的には無駄な作業に終わったけれど。
スタジアムに近づくと、人が結構いたので隣接の体育館で成人式でもやっているのかと思ったら、バレーボールの公式戦だった。「お前ら、史上初の中学生Vリーガーなんぞに釣られよって…」と思ったが、あまり他人のことは言えない。
元々、試合の流れをちゃんと追うよりも将来のスター候補をチェックするために足を運んだわけだし、2002world.comの中の人も見かけたので、そのうちにレポートも上がるだろうから、印象に残った選手をつれづれと書くことにする。昨日は国立で作陽の試合を観ていた本田監督もいたが、明日はどちらへ行くのだろう。

第1試合はメニーナ神村学園。前半は雪が強くなり、風も強く、風上の神村が優勢。どちらも一度陣地を稼ぐとなかなか押し返せないなか、5番の長めのFKが直接ゴールして神村が先制。神村はゴールキックをキーパーの代わりに4番、遠目のFKは5番と、大柄でパワフルなCBを2枚持つのは珍しいような。
4-2-2-2でスタートしたメニーナは、失点後すぐに3列目の7番に代えて岡野チックなスピードスター12番を右サイドのFWに投入。トップの8番を2列目に、2列目の10番を3列目にそれぞれ下げるが、バランスが悪くなってハーフタイムまで神村の猛攻を受ける。ほぼワンボランチ気味になったメニーナの5番は上背と風格があるけど、あまり運動量がなくて「フェアな福西」といった趣。パンフによるとまだ中学3年らしいので、もう少し身長が伸びて伊賀の宮本選手みたいになるのを期待したい。
後半になると雪が止み、陸連に嫌がらせをされているのか、あまり使用されないので無駄に美しい桃スタのピッチはパスサッカー仕様になる。メニーナは8番をトップに戻し、12番を中盤ひし形の右に置く。バランスは良くなったけど、12番は守備が得意そうではないし、オフサイドライン際に張らせた方が活きたのでは。8番と9番の大柄2トップは見掛け似ているのだが、8番の方は左右CKからFKまで全部蹴るし、少し下がってゲームメークもする。9番はゴール前で待つベレーザでいう8番の姉タイプ。
後半半ばにCKの混戦からメニーナが同点に追いつく。その前後はメニーナが相手陣内に入ってからもショートパスを繋いで攻め込む良い流れだったけど、終了間際から延長線にかけては神村が盛り返す。スポナビの高校選手権特集で神村男子が血尿が出るほど練習で走らされたという記事を読んだが、女子もフィジカルが鍛えられている様子。特に9番18番の2トップが、最後まで相手ボールを追うだけでなく、前への推進力も落ちないところが素晴らしかった。おおよそ五分の内容で、最後まで足が止まらなかった神村の勝利は正当な報酬(C湯浅)。
パンフ見て神村は3年生が引退して1・2年生だけだったのに驚く(メニーナに沢山中学生がいるのも驚いたけど)。受験勉強やら仕方ないのだろうけど、高円宮杯が微妙な位置にある男子と違い、せっかくシーズンの最後にクラブと高校を含めた最高峰の大会があるのだから、3年生を含めた大会になれば良いのにと思った。
2002world.comにあった昨年の素晴らしいレポ(http://www.2002world.com/column/women/2006/060113_nishimori.html)を先に読んでおけば更に楽しめたかもしれない。

雨に濡れた足の指先が凍り付いていたので、第1試合が終わったら30分ほどコンビニへ避難しようと思っていたのに、PK戦までもつれたため、試合の間隔が20分位に縮められて困った。

第2試合は常盤木学園藤枝順心。昨夏に行われた高校選手権決勝カードらしいが、この日の出来だと第1試合の両チームの方が強いか。組織でポゼッションする常盤木がゴール前の混戦から先制、その後もずっと流れを維持するが、個人技で勝負する藤枝が後半残りわずかになって右サイドから崩して同点に。最後は一進一退でPK戦
常盤木は3-2-2-3のように見えた。前5人と後5人がほぼ分断というか役割分担。3列目の2人いずれかが流れの中で上がっても、2列目のどちらかが必ず下がってスペースを埋め、決してリスクをおかさない。攻撃でも決して蹴り込まないで、前線にフリーの選手が生まれるまで何分でも最終ラインでボールを回す覚悟がある。フリーになる選手を作ってボールを運ぶから難しいプレーが必要ない。本当はもっとテクニックを披露出来るのかもしれないが、追いつめられた状況になる前にボールを離すから、7割くらいの力でやっているように見える。バルセロナ時代のファンハール的というか、パワーやスピードで男子に劣る女子サッカーが興行として目指すべき戦術サッカーの手本というか、個人的にはものすごく好みだけれど、だからこそ必死に食い下がる相手に同点ゴールを許したのもまた必然という気もした。キャプテンマークを付けている3列目の7番が試合をコントロールしているのだけど、何というかゲームメークではなくゲームコントロールという印象。もう少し選手の個性(エゴ)が発揮されても、と思うが、そのバランスが難しいところ。巷で噂の常盤木15番は、小柄(パンフの165cmは疑わしい)ながらセンターフォワードとしてボールを貰う前にシュートまでのイメージが出来ているような思い切りの良さを感じた。セレッソの大久保に似ているか。ただ、引き出しが少ないのか、相手DFに慣れられるとまだまだ。2列目の6番22番の運動量はすごいし、左ウィングの10番も素晴らしいチャンスメーカーだったが、自分的に今日最大の発見は右ウィングの9番。サイドで開いてボールをもらってからドリブル/パス/キープどれもあるし、上背があって背筋が伸びてて、立ち姿がクライフのようだ。髪型もキュートだし。
対して藤枝は子供の頃からドリブルして遊んでいた女の子がそのまま大きくなったような、自分の技を100%披露しようとしてほとんどは跳ね返されるけど、それを90分間続けていれば、必ず1度や2度は成功するのがサッカーの真実か。個人的には女子のサッカーで、ブラジルサッカー、静岡サッカーの縮小版を見せられても正直あまり楽しめないのだけど、ただ本当に楽しそうに自分のプレーを発揮しようとしているから、育成年代としてはこちらの方が正しいのかもしれない。とはいえ、同点ゴールのキッカケを作った右WBの7番なんてすごいキレのあるドリブルを持っているのに、ほとんどの時間は守備におわれ、たまの単独突破も数的不利を作られ、もっとチームとしての活かし方があるのでは、とも思った。もちろん高校チャンピオンになるくらいだから当然勝負にこだわっても強いのだろうし、たまたまこの試合はうまく主導権を握られただけかもしれない。目立った選手は、小柄な体でドリブルを仕掛ける9番23番の2トップはもちろんだけど、ワンタッチで裏に出したり、前が空いたらゴールを狙ったり、いかにも静岡っぽいトップ下の10番にセンスを感じた。

結果的には、全てのゴールが風上側のチームによるものになった。吹雪の中での試合をみていると、体が出来上がっていない10代女子の試合でフルコートは難しいのでは、特にショートパスで組み立てるチームはしんどいのでは、と思ったりもしたが、天気がそれなりに回復するなか、2試合とも白熱した好ゲームになった。肉眼で観測出来るほど雪が降るのは年に3回あるかないかの岡山なのに、たまたまその日に当たってしまい、様々なコンディションが悪いなか、選手のほか関係者・家族の皆様の頑張りには敬服する。メニーナ側で太鼓を叩いていたサポもお疲れ。明日は14時から家で作陽の試合を見なければならないし、決勝はスルーするつもりだったけど、同じチームを2試合、それも公式戦を2日連続で戦うトップレベルのチームを見る機会もそうそうないので、どうしようかと悩んでいる。