パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

「湯郷ベル対INACレオネッサ」

2006/9/24、桃スタ

今回は「おかやまサッカーまつり」ということで、午後1時からベルの試合、午後5時からファジアーノ岡山の試合をダブルヘッダーだったのだが、チャリで桃スタまで行って帰りが7時になるのはきついと思い、ジェフェルソンは見てみたかったが、申し訳ないけどベルの方しか見なかった。しかし、本気で桃スタをホームにしてファジアーノを盛り上げるつもりなら、駐車場問題は避けて通れないはず。1万人を超えても、会場周辺が大混乱にならなければ良いが。
確か県南では今年初試合、しかも上記の理由もあって3000人以上の観客が入ったわけだが、L1レベルといえども女子サッカーを興行(面白い出し物)として楽しむのは、どんなレベルのサッカーでも楽しめるゴタケ級サカヲタでなければ難しいと思う。今回はカウンター2発で勝利したけど、下手すると退屈なスコアレスドローもあり得る展開だったし、物見遊山で来たスタンドの一般人はどう楽しんでいいのか戸惑っている感もあった。ベルの場合、地元民がサッカーのことはあまり分からなくても家族の試合でも見るかのように足を運んでくれる美作で全部試合をやった方がいいんじゃないだろうか。県南企業にもスポンサーになってもらっているからとか、外部のあずかり知らぬ理由もあるのだろうけど。
今日、観客が多かったのは、赤いINACサポが大挙して押し寄せたのもある。神戸のNPOが主体らしく、神戸からツアーを組んで来たのかと感心したが、どうやら岡山に本社を持つ建設会社がスポンサーにいるらしく、その動員があったらしい。「…らしい」ばかりで申し訳ない。
自分は今回趣向を変え、試合全体を観るのではなく、「美作の愛キュン」こと田中静佳選手の動きを7割くらい追って楽しんだ。体を張って前線で起点となり、ファールをゲットするのが仕事、得点はちょっぴりという鈴木師匠によく似たスタイルの田中選手だが、とにかく低いボールは足元でためる、高いボールはヘディングで近くの選手に落とす、というパターンが決まっている。加戸選手は下がってもらうと見せ掛けて裏に飛び出すとか、やっているのに。もしかすると相手に読まれていても負けない強さを身に付けるために、敢えて他の選択肢を封じているのかもしれないが。
以前観た時の印象から、加戸選手はサイドアタッカー的にポジションをとるのかと思ったが、明確な2トップ。全体では中盤ダイアモンド型の4-4-2。ポジションが固定され易くて流動性がなく、相手には読み易かったのではなかろうか。INACは意図あるパスで組み立てるけど精度が足りない、湯郷は成功率五分五分か三割くらいのアバウト攻めで防戦気味。なんだけど、宮間というプレースピードを落とさずにドリブルもパスも出来る個の力で勝利。1点目のカウンターはルーマニア1994を見ているかのような正確さだった。
田中選手のプレッシングは、前線から奪うとかコースを消すとかじゃなくて、出し手と受け手の中間くらいに位置し、パスを出されるとまた次の出し手(旧受け手)と受け手の中間に…、という下手するとアリバイディフェンスにしか見えないが、実は高度な作戦なのかもしれない。女子の場合、パスの本数が増えれば増えるほど、ミスが発生する率も高くなる。つまり、出し手に対して詰め過ぎてかわされて置いてかれてしまうと、実質相手が2人多い状況になるが、パスが出た後で受け手に近づくと、相手がミスをした場合、ミス発生地点に沢山の味方選手が数人寄っているという効率の良さ。実際、相手選手のトラップミスを宮間がさらうと、周囲に田中と中田、或いは田中と加戸が寄っているという場面が沢山あった。選手のレベルを冷徹に観察した上で、相手のミスを待つという何とも消極的な作戦で、ミスの少ない日テレ辺りには通用しない作戦だろうが、理には適っている。
加戸選手も結構大きいと思うけど、GK福元からのロングボールはほとんど田中選手が競っていた。前半は相手チームの3番5番になかなか勝てなかったが、後半も進むにつれて、頭で周囲に落とすプレーが出来ていたようだった。それからセットプレーでディフェンスに戻ると無類の強さを発揮して頑張っていた。駄目押しとなる得点は正当な報酬。余談だがキャプテンマークも巻いていた。宮間/加戸/中田がオールスターに選ばれて内心悔しかったのではないかと思うが、見ている人は見ているだろうから頑張って欲しい。