パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

たまには選挙の話

衆院が解散した8日の月曜日、現在の状況になる前から予定されていた熊代昭彦氏の国政報告会を聞きに行ったら、ゲストで講演したのが萩原誠司市長で、萩原氏は「岡山市のために働いてくれた国会議員は熊代先生だけです。熊代先生をよろしくお願いします」みたいな事を言っていたのだが、政治の世界は恐ろしい。
熊代氏は元厚生省の役人で元橋本派(今は脱退)、地盤を持たない平民出身。確か50歳超えて初当選だから、年齢の割に下っ端なのが不満。一方、民主党の津村氏は元日銀職員で、自由競争とセーフティネットを組み合わせたトニー・ブレア第三の道の信奉者。前回は小選挙区では負けたものの比例で復活した。世が世ならば、お互い逆の政党から出馬してもおかしくないし、小泉政権はわざと自民党から雑魚公認候補を投入し、熊代落選、保守2大政党制の担い手になれる津村氏当選で万々歳にするのかと思ったが、そうではないらしい。得票率が4:3:3くらいになれば、片方が当選、もう片方が比例で復活、無所属の熊代氏だけ落選で万万歳という狙いだろうか。
ちなみに、岡山1区は逢沢外務副大臣菅直人の息子の対決。都市部だし、知名度だけはある民主党候補に対し、小泉首相は、逢沢議員を副大臣に留任させた上、目立てるように国連改革で重用した。岡山3区は造反した平沼氏と民主党泡沫候補中村徹夫氏。中村氏は50歳元会社員で元PTA会長。相手が相手だけに平沼氏が当選するだろうから、自民公認は雑魚投入の予感。結局へたれ平沼氏は発言力を失って自民党に返り咲く事になるだろう。岡山4区、こちらも民主党柚木道義氏は30歳代の元会社員だから、自民は出しさえすれば勝てる。岡山5区は村田吉隆国家公安委員長民主党花咲宏基氏。花咲氏は40歳、議員秘書やった慶應出たり大前研一の塾出身だったり、それなりに箔がある。フランス語で流暢な演説は出来るけど元官僚らしく有権者へ気を配るのが下手で選挙に激弱な村田氏を大臣にしておいたのも今回の選挙を見通しての事かもしれない。
民主党は前回、前々回と全ての選挙区に候補者を立てるために、(普通の感覚を持った庶民という言い方も出来るが)田舎の有権者にはインパクトに欠ける小物を乱立しており、最近、ようやく元官僚やら元学者やら使える候補者と入れ替え始めたところだったが、間に合っているとは言い難い。意外というか、小泉首相は全国の選挙区事情に無頓着のようで、かなり詳しいらしい。思えば、結構重要なポストである国家公安委員長に、武闘派とは無縁の村田氏が就いているのも何か考えがあっての事かもしれない。
個人的には、選挙の結果、自民党は辛うじて過半数で「郵政民営化は国民の信任を得た」という大義名分を手に入れ、自民参院議員にプレッシャー、これでもし否決されたら衆議院で定数の3分の2が得られるように民主党右派を挑発し、新憲法草案には、存在意義を否定された参議院の廃止と一院制が盛り込まれたら、神レベルだと思う。
郵政民営化&総選挙の目的が、米国へ媚を売るのか、旧経世会&旧社会党の壊滅なのか、「老人と二世しかいない」と言われた自民党議員の新陳代謝なのか、自分には分からないけれど、かつてならば、首相のところで握り潰していただろう旧経世会の医師会疑惑が表に出たり、金丸信氏の地元で自社友好・日朝友好の聖地だった山梨で教組の選挙運動が告発されたり、今回の郵便局バッシングだったり、組織票潰しに力を入れているように思える。
で、今の日本で一番の組織票といえば公明党なわけで、これを無力化するために最も効果的なのは投票率を上げるしかない。60%の投票率が70%くらいになれば、公明票の影響力もかなり落ち、真の2大政党制もかなり現実的になる。自分の親世代はなんだかんだ文句は言っても大抵は投票に行っているので、投票率を上げるためには若い人間が投票しければならない。その意味で、今回ほど争点が単純化され、なおかつ面白そうな選挙はないと思う。これで投票率が伸びなかったら、もう何をやっても無駄だろう。
小泉首相は自分でも政策にあまり明るくない事を分かっていると思う。と同時に政局に滅法強い事も自覚している。そういう人間が出来る事は、やがて来る真の政策論議時代のために、多くの国民が国政に関心を持ち、特定のロビー団体の支援で選挙結果が決まる状況を変える事だというのが、小泉首相の辿り着いた結論ではなかろうか。まあ、かなりの性善説だ。
2大政党制については、親米自由主義と親中社民主義のやや対立傾向があって時々の景気や国際情勢によって揺れるのが良いのか、共産主義者からウルトラ右翼までを内包した鏡のような2つの政党の間で、国民がお灸をすえる意図で交互に政権を担当させるのが良いのか、正直分からないが、どっちが勝つにしても、宗教や労組の組織票に左右されないよう、高い投票率で決まる将来になって欲しい。
見捨てられた地方に住み、年収300万円以下で、未来の見えない30代男が、現政権を支持するのは論理的に考えて間違っているのだろうが、これだけ恵まれた世界・時代に生を受け、努力するのに困難な程の障害を持っているわけでもなく、ただ自分が頑張らないから今のへたれな状況があるという負い目を感じているので、こちらもあまり強くは出られない(自分の同世代の多くにそういう感覚があると思う)。加えて、上記のような性善説的な期待もあるので、今回は逢沢一郎氏&比例で自民党に投票するつもりだ。