パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS1『BSドキュメンタリー』「シリア噦民主化器への攻防」

2005/7/9放送、50分、取材:島崎浩/吉田純二、構成:小川和男、制作統括:二村伸/沢田博史
ドキュメンタリーというよりは、NHK国際部によるロング・リポートか。
「何故この時期にシリアのリポート?」と思ったが、多分米国がシリアをテロ支援国家認定したからだろう。西側経由のメディア話だけ聞けば、シリアは「テロリストを支援しているし、一党独裁だし、大統領は世襲だし」など旧イラクと同じようだけど、イスラエルとヨルダンの国境で軍を相手に戦っている私兵・民兵資金や武器の援助を与えているのをテロ認定するのは微妙だとか、現大統領は西側で育った開明君主だけれど、保守派と改革派のバランスを保つのが大変で独裁者呼ばわりするのは微妙だとか、そういう伝わりにくいニュアンスの違いを紹介したかったのだと思う。
見知らぬ『悪の帝国』を攻撃するのと、テレビで見たあの街この街を攻撃するのとでは、一般人の心理面で少しは違う。違ったからといって政府・政策レベルにまで影響を及ぼすことはあまりないだろうが、イラクに関してNHK国際部には、戦争以前、国外退去になっていたわけでもなかったし、もっと日本に対してレポートを送っておけば良かったという後悔が気持ちの底にあるのではないか。もちろん取材陣も日本の一般人にシリアの現状を紹介したからといって、別に米国がシリアを攻撃するのを止めることは出来るとは考えていないだろうけど、今度は後悔しないように自分達が取材して伝えられるだけことは今のうちにしておこう、という意思が感じられなくもない。
以上、今日はいつもより妄想電波多めで。
いつもの愚痴で、NHKは、サイトでの表記が「バアス党」で、テレビのテロップ表記が「バース党」とか、相変わらずのコミュニケーション不足を何とかするように。

NHK放送文化研究所の海部一男という人が、

(前略)NHKの場合、ABCとBBCに較べて、イラク軍の戦況分析、イラク軍・国民の被害、制圧後の治安問題、統治・復興問題など、イラク側の状況にも関心を払った、他の放送局にくらべてよりバランスのとれた内容構成になっていることが分かる。こうしたイラク側からの報道の中には、アメリカとイラク双方からする情報戦の状況や犠牲になるイラク国民など、ABC・BBCでは余り取り上げられないテーマも取り上げられ報道された。
そうした客観的な報道の姿勢は、しかし、国際部による取材態度に限られ、NHKニュース全体の編集方針にはかならずしも十分反映されなかったようにも見える。(後略)
http://www.jamco.or.jp/2004_symposium2/jp/05/index.html

と書いている。元NHK国際部記者である海部氏の身贔屓も感じるが、自分の電波とよく似た観点。