パロップのブログ

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『Sals』公式サイトが妙に充実している件

『Sals2』は12月25日発売。公式サイトはこちらhttp://shop.kodansha.jp/bc/fbn/sals/index.html
以前(d.hatena.ne.jp/palop/20040818)書いたが、都大会の報告会で『FOOTBALL Nippon』の編集をしている講談社の伊部塁氏がハロプロの都大会参加を擁護しつつも、出場の経緯については「外部の人間だからよく知らない」とお茶を濁しているのを読んで「本当はアップフロントとグルのくせに」とつっこんでいた。しかし『Sals』公式サイトをざっと読む限りアップフロント講談社が癒着しているわけではなく、本当に『FOOTBALL Nippon』スタッフが自分の意思で取材を始めたようだ。もちろん今は『Sals』の成功もあって、練習もマスコミ公開日以外でも取材出来る特別待遇が保証されているだろう(以下、『Sals』が成功したから『『Sals2』が出る、という前提で書いている)。
『Sals』の奥付に唯一取材/編集でクレジットされている伊部氏のプロフィールが別冊『Sals』の本体である『FOOTBALL Nippon』サイトに載っている。

1971年滋賀県生まれ。主にスポーツを対象とした取材を行い、『FOOTBALL nippon』を始め、『スポルティーバ』や『サッカーダイジェスト』などのスポーツ雑誌に原稿が掲載されている。現在、フットサルという競技に魅力を感じ、鋭意取材中。『FOOTBALL nippon』では、主に『選手物語』や『サンクチュアリ』、『大住良之後藤健生対談』などを担当している。
http://shop.kodansha.jp/bc/fbn/ura/005.html

上記のコラムには相根の話も出てくる。伊部氏がスポフェス2003を取材するきっかけは日本サッカー協会に顔を出した時に平田専務理事から「今度アイドル使って普及イベントするから取材に来てくれよ」と頼まれて断れなかったのだろうと推測していたが、どうやら相根コーチと以前から知り合いだったようなので、もしかすると相根コーチの方から「今度アイドルのフットサルコーチをすることになったから是非取材に来てくれ」と頼まれたのかもしれない。それでハマったのだろう。
『FOOTBALL Nippon』本体でのハロプロの扱いは、2003年冬号が10ページ(スポフェス)、2004年春号が4ページ(都大会前練習)、夏号が3ページ(都大会レポ、吉澤×澤穂希)、秋号が2ページ(お台場カップ、なでしこ、石川×川上直子)と段々減っている。『FOOTBALL Nippon』はワールドカップ2002公式本を作った講談社が大会後、調子に乗って創刊したいわば後発組。なので結構他のサッカー雑誌とは違うニッチを探している感はある(実際、日本代表・アテネ五輪代表の特集にしても季刊らしく資料的価値のあるデータが多くて重宝する)。このニッチ路線の果てにハロプロフットサル取材があったのだろうが、恐らくアンケートハガキの結果は一部ヲタの絶賛と一般サッカーファンの大ブーイングだったと推測される。生でスポフェス・都大会を取材して「あれは良いものだ」とマクベのような発言をする伊部氏と不評だから切りたい編集長。そこで出た案が「じゃあ、一人で別冊作れ」ではなかろうか。で、出してみた『Sals』が大当たり。ヲタを相手にするという宝の鉱脈を掘り当てたわけだから伊部氏にとっても講談社にとっても願ったり叶ったりか。ちなみにこの1年『FOOTBALL Nippon』に載っている伊部氏のクレジットも減っている。今や『Sals』専属、或いは女子サッカー、フットサル及びガッタス等辺境担当みたいな扱いになっている感じがする。
本当かどうかは分からないが『ザッピィ』が休刊になったのは、クライアントから広告費をもらってパブ記事を載せるビジネスモデルが行き詰まったかららしい。その点『Sals』の場合、アップフロントは自由に取材させるだけで広告費を払わなくて済む、講談社はヲタ相手のビジネスで儲ける、ヲタはアップフロント印の付いていないまともな写真・雑誌を入手出来る、と今のところみんなが幸せになれる素晴らしいビジネスモデル。まあアップフロントの人は講談社に「ウチは超初動型なので、初版が馬鹿売れしたからといって増刷しないように」くらいのアドバイスはしてあげて欲しい。ヲタ向け商売には不慣れだろうから。
ついでに言うと、アップフロント提供のガッタス公式サイトがへぼいのは可。非公式サイトの画像等を取り締まっているにもかかわらず、自サイトがへぼかったら言語道断だが、アップフロントはファンサイトでも野放し。ファンやら出版社やらが無料で宣伝してくれるのならば、それに越した事はない。効率的なアウトソーシングだ。まあmusumenaviやセンチュリーランドの中の人がハロプロに飽きてサイトを閉鎖、後継サイトも現れないとなったら、ヲタは困るし、事務所は慌てて公式サイトの出演情報もちゃんと更新するようになるかもしれないが、そうなった時はもう手遅れなんだと思う。放置の公式、熱意の非公式こそある意味で健全な車の両輪。
確か国内にテニス月刊誌は5誌あるが、ウィンブルドン優勝時・ジャパンオープン時に表紙が5誌ともシャラポンだったのは笑った。テニス専門誌のプライドから毎号という訳にはいかないのだろうが、本音は売れる美少女を表紙に起用する大義名分(結果)が来るのを待っているのだろう。それから日本のスポーツビジネスは報道する側もお客さんも『Number』のような「物語」が大好きだ。故に実力ある奴に過程の物語があり、更にルックスが良ければ最高であるが、実際問題、全部揃うのは難しい。となれば、発想を転換してアイドルにスポーツをさせようという考えはロジカルである。スポーツというのは一生懸命にやっている限り、そこには必ず物語が生まれると思う。それがトップレベルでもアイドルでも。アイドルに足りないのは実力だけ。3条件のうち2つが揃っているのだから、ビジネス上のポイントでは「華のないチャンピオンの物語」とそう変わらない(もちろん実力・結果が3条件の最上位にいるべきという正論を軽んずるものではない)。そこまで飛躍するなら「美人でスポーツ万能な人」を集めて虎の穴に放り込み、実力者になるまでの成功物語を作れば最強かも、と言いたいところだが、そういうのは結果がついてくる前にビジネス面でぽしゃるものだ。その点、ハロプロにはスタートからヲタという固定客がいる。何事も軌道に乗るまでは辛抱強いある意味馬鹿が支えなければならない。そう考えると、実はハロプロフットサルというのは荒唐無稽なものではないのかもしれない。
………
『Sals』からは離れ、ガッタスに対する自分の立ち位置を書いておく。
本業によって手に入れた知名度をボランティア的な普及活動で社会に還元するという方向を期待したい。個人的には、もう少し練習を積んで素人とやってもお互いに不用意な怪我をしない程度になったら、例えば土日に地方でコンサートがある場合、日曜の午前中ならばリハーサルも少な目でスケジュールを空けてコンサート会場の近くで初心者の小学生女子とフットサルで戯れるとかして欲しい。もちろん「午前中の教室で怪我をして午後からのコンサートを欠席したら本末転倒じゃん」という批判はあるだろうけど、あまり神経質にならなくても良いと思う。ファンの女の子と一緒にプレーしながら対話する事でアドリブ・機転能力なんかも鍛えられると思う。「それならコンサートのMCをフリートークにしろ」と言われたら、確かにその通りだが。それで10年後15年後に「モー娘。とフットサルやったのがきっかけでサッカーを始めた」なんて子が日本代表になったら、それが最高の仕事だったと胸を張れるはず。普及というのは今すぐ結果の出るものではないのだから。
都大会に出て一般人を色々と面倒に巻き込むのはあまり好ましくないと思う。ただ本気試合に出ないと、本人達のモチベーションを保つのが難しいのは確かにあるだろう。特に、これまでの初心者として自分でもグングン上達しているのが分かる段階から、なかなか伸びない時期になるだろうし、チャレンジする試合もないとなれば、辞めたくなる人も出てくるかもしれない。難しいところだ。
期待される広告塔という意味ではテレビに映ってなんぼだし、話題になるという事は本人にとってもサッカー協会にとっても良い事だから、その方面でインチキ臭い事に関わるのはある程度仕方ない。しかし本業のコンサートと同じような感覚で、芸能人同士のカップ戦みたいな興行を組み、金を取って商売して欲しくない。それは普及ボランティアではなく、ヲタ向け商売でしかないからだ。まあ無料イベントにすると客の質が悪くなりそうだから(別に高額払うヲタが質の良い客というのではなく、見る熱意の薄い通りすがりの人というのは会場の雰囲気を冷ますから、くらいの意味)、ある程度観客をふるいにかけるための有料イベントは仕方ないのかもしれないが。
理想としてはハロプロにライバルがあって、秋はホームのスポーツフェス、春はアウェイのイベント、入場料はとるけどフットサル限定の有料大会ではない。モチベーションも試合のレベル云々ではなく、伝統の対抗戦という名誉に向けるもの。オクスフォードとケンブリッジのボートみたいな雰囲気になればベスト。まあ実際にはヲタの規模や芸能界での位置づけでライバルらしいライバルがいないので、春は都大会、秋はスポフェスだけが本気試合というのが妥当なところか。
と、コンサートにもガッタスの試合にも行かない地方在宅派が適当な事を書いてみた。