パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

CS「マケドニア対チェコ」

2004/11/19放送、実況:谷口広明、解説:渡邊一平
何度か書いているように、私はチェコサッカーの特徴を「同サイドに人数かけてショートパスを繋ぎながらいつの間にか誰かが縦に抜け出す事」だと思っている。これは代表でもスパルタでも一緒で、恐らく子供の頃から刷り込まれているショートパスを如何に活かすかを先人たちが考え続けた結果、危険な自陣前で繋ぐのではなく、リスクを犯すのはサイドになったのだろうと推測される。チェコ人コーチが海外で活躍しているのも、先達の知恵を共有するコーチ育成システムと創意工夫を重ねる国民性故だろうと妄想を飛躍させる。
面白い事にというか、当然というべきか、前号の『ワールドサッカーダイジェスト』(2004/12/2号、No.184)で解説されていたゼーマンサッカーはチェコサッカーに似ている。ゼーマン用語でいう「サイドの鎖」とはイタリアでいうところのレジスタにボールが入った瞬間からスイッチが入り、SBとSHと3TOPの1人がサイドでお互いにパスコースを作る事。今の代表だとガラセクは散らし役ではないので1TOPのコラーに入った瞬間がスイッチオンというのが違いだろうか。ユーロ2004のラトビア戦かオランダ戦のビハインド時に見せたガラセクを外してロシツキを1つ下げた体制がゼーマンサッカーに一番近い。他の雑誌でレッチェの選手がインタビューで「ゼーマンはディフェンスラインの守備練習をほとんどしない。ゼーマンは『前線の選手がきちっと守備をすれば、最終ラインで難しい事をする必要はない』と考えているらしい」と答えていた。これも現在のチェコ代表と通ずるものがある。代表ではガラセクのポジションがある分、大量失点をしない代わりに手詰まりになる時もあるといったところ。解説の渡邊氏は不安定な最終ラインについて「選手同士のコミュニケーションしかない」と言っていたが、それならば後ろ2〜4枚を同一クラブの選手で揃えるのも手だと思う。一流レベルまで達していれば、その先は超一流か否かよりもコンビネーションをとるべきかも。
ブルックナーバロシュの特殊能力を活かすために2トップにしているものの、彼がいないときは1トップを基本に考えているのだろう。前述のように両SHには1人で突破出来るウィングではなく、中盤の1人として機能する選手が好みなのでヴァホウセクの起用はロジカルだが、彼はへたれの匂いがする。ロシツキが左に流れた時に中央へポジションチェンジしても難なくこなせるのをみても、組織の一員として重宝なのは分かるが膠着状態を突き破る異能がない。まあ前任者のネドヴェドが超特殊能力者だったので比較するのは気の毒だが。考えてみれば、右のポボルスキもチェコのSHとしては特殊な部類だし、欠点もある異能者から平均点の高い選手に切り替わる際の不安というのはどこの国も同じ。多くの論者が「ネドヴェドの後継者はロシツキ」と思っているようだが、個人的にはこの試合のハインツにネドヴェドの薫りがした。
今年30歳になったボルフだが、見る度に上手くなっている気がする。スピードのある相手に飛び込むタイミングとか確実性が増している。検索した限りでは、オーゼールでもレギュラーとして常時出場しているようだし、このまま行くとワールドカップ06までには更にビッグクラブに移籍している可能性もある。ヴィオラウイファルシとコンビを組んでくれるのが理想か。
FKは左足がヤンクロかハインツ、右足がポボルかロシツキ。相手CK時は相変わらずゾーンで守っている。ギリシア戦で痛い目に遭ったのに。
マケドニアは本国ブルガリアのサッカーをスケールダウンさせた感じ。後方から丁寧にパスで繋ぎたがるが、前線からプレスを受けると調子が出ない。