パロップのブログ

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高校選手権岡山県予選決勝「作陽対玉野光南」

11/13、桃太郎スタジアム
バックスタンド側で観戦。両チームとも今期初観戦。チームの常態を知らない素人一見さんの戯言という事で。
両チームとも公称は4--5-1だが、作陽は上背があって足元の柔らかい1トップ9番にワイドに開くSHがいる所謂欧州トップモード。光南は6枚でがっちり守り、その前に攻守のバランス良くテクニックとスタミナのバランス良い兵藤みたいな10番がいて、その前に3トップという所謂田嶋系トレセントップモード。
試合は光南が25分までに2点を先制。光南の3トップは常に同サイドに固まって3人+10番のコンビネーションでシュートまで行く。FWはとにかく縦に勝負する。作陽CKの時もディフェンスに戻らないため、逆に作陽のDFがセットプレーで上がれない。去年は全員で守って攻めは苔口カウンターだったが、それだと後半以降段々と足が止まって結局冷静に仕留められた。ので、今年は先手先手の真っ向勝負。戦力的に互角と踏んだのか、或いは前半で勝負をかけにいったのか。
作陽の良さは中盤の華麗なパス回し。対して光南はパスの出所を押さえるのではなく、SHが開いて受けるスペースを消す作戦。これが当たる。欧州トップモードは両SHにビセンテホアキン並の才能がいないと途端に手詰まりになりがち。試合前に高校サッカーBBSで注目選手扱いだった作陽14番船迫(テクニックがあるらしい)は底の右にいたが、ほとんどパサーとしての見せ場なし。デポルでいう「今日セルヒオいた?」状態。むしろディフェンスの面でマイナスか。怪我で出場を危ぶまれていたようだし、早い時間に替えるなら彼だろうかと思いながらみていた。
光南の2点ともゴール前のこぼれ球をダイレクトでとらえたファインゴールだったが、作陽のセンターバックにもう少し厳しさ強さが欲しいところか。全体的に光南の選手の方がごつい。特に坊主の5番と6番が屈強。
作陽でもっと能力が高いらしいのはプロへ行くという噂の左SBの3番(田中)だが、前半はほとんど見せ場なし。一度最終ラインの前で味方がボールを奪った時、フリーだったので前に走り出したが、1本目のパスが自分に来ないと止まってディフェンスラインに戻った。日頃は格下相手にポゼッションしながら両SBまで上がって2バック状態で攻めるのだろうが、流石に予選決勝は慎重に入ったら、逆に先制されて混乱している感じ。
前半終了直前、作陽は3番田中を1コ前に出し、ほとんど仕事が出来なかった左SH11番に代わって左SBに12番を投入。交代の仕方までデポルに似ている(ビクトルに代わってスカローニみたいなの)。
ハーフタイムでは、後半作陽怒濤の攻めと足の止まった光南引き籠もりカウンターを予想。ふと聞こえてきた加茂周氏の「選手がびびって、ズルズル下がってしまうんですよ」という声は多分幻聴。
後半立ち上がり、作陽は3番田中の突破&シュートのこぼれ玉を1トップ9番がゴールして1点差。将来を見越して田中をSBのスペシャリストとして育てるか、チームの柱として攻撃的なポジションで使うのか、この1年、監督も頭を悩ませたのではと想像する。
後半15分に光南は2得点の11番から8番へ。FWスピードスター同士の交代であくまで3トップ堅持。
後半20分過ぎに光南の10番足がつる。数分後に同ポジションの選手と交代。
後半、スペースが空いてくると、作陽の14番も左足で狭い所を見事に通すパスを出して3番や13番を動かしていけるようになってくる。
後半26分、右SBのクロスがGKの頭を越えて直接ゴール。ミスキックだと思ったが、帰宅後にテレビの解説を聞くと狙ったようでもある。これで光南は先行逃げ切りのプランが崩れ、作陽の絶対有利。
同点の直後、光南左SB同士の交代。この時点で恐らく光南は体力的に落ちてきた選手から控えの選手への交代で3枚のカードを使い切る。一方の作陽はスターターでは使いにくいが一芸ありそうな選手がアップを進めているのがスタンドからも見える。ここで作陽は攻撃の選手を投入して一気に勝負を決めにくるかと思ったが、ベンチは動かず。
そのうちに作陽の10番も足がつる。作陽の交代選手が呼ばれるが、交代は右SH13番と。よりFW的な選手が入る。3番田中も後半はほとんど1トップの左横でFW的な動きをしていたので、ほぼ3トップとなる。
更に作陽のCB4番(キャプテン)も足がつる一方で、作陽の10番は足をひきずりながらも徐々に動けるようになってくる。確かに足がつるのは怪我ではないから、寝転んで押してもらうとそれなりに回復するようだ。これは監督も交代の見極めが難しい。おそらく後半終了までは同点でOK、延長に入る前に、選手の状態を直接チェックして交代枠を使う腹づもりだったと推測された。ギリシア戦のブルックナーのように。
延長前半、光南のGKが1対1のループシュートをエリア外バレーボールブロックで止めて1発退場。「交代枠ないからフィールドの選手がGKか」と思ったら、控えGKが出てきた。どうやら延長戦は4人目の交代が有りらしい(テレビで見直したら「最初から交代枠4人というレギュレーション」だった)。GKに代わってアウトは後半20分過ぎに入った選手。やはり元気な控えの選手よりも80分動いた選手の方がつかえるという判断か。
その後、作陽は交代で入ったばかりの右FWが接触の際、捻ったのか折れたのか手首を痛めたらしく交代。本人は走れるし続けたそうだったが、本来の動きが出来ないのならば&早く治療しないと後をひくかも、ということだろう。交代枠を残しておいて正解。
更に作陽のDF4番が交代。完全に足がダメになった様子。代わってDF15番。背が低そうだが光南も1人少ない2トップだし、底に入って14番の攻撃能力を前で活かすイメージ。
延長の後半は、両者ともへばってゲームの形がつくれなくなる。作陽も数的有利を活かせない。ここまで来ると、技術でも能力でもなく気力の戦い。個人的にはあまり楽しめないスリリングさ。ともに知力を尽くして正規の80分で同点なわけだし、もう一度手駒を揃えた状態で再試合させてあげたい気がする。
オチは、光南のFW15番が死力を振り絞って決勝ゴール。得点の前後に作陽の14番が相手と接触して足がつる。外に出ている間に試合終了。そのせいか、作陽は3番と14番が終了後に一番マジ泣きだったと思う。ちなみに両チームの主力は国体選抜で一緒にやっているし、恐らく中学時代は同じクラブチームに所属していた奴もいるという事で、試合後の両者はとても爽やかだった。
光南の3トップは作陽の4バックに対して優位に立てるだけのドリブルテクニックとスピードがあった。素晴らしい攻撃サッカーに拍手。11番と15番は2年生のようだし、これで全国を経験出来るわけだから、新チームも期待大。
作陽は昨年よりも個人のタレント(これもまあ知名度みたいな意味で)は弱いけど、相変わらず良いチームで、監督としては「采配によっては勝たせてやれる試合だったのに、全国へ連れていってやれなくて済まない事をした」と云った所だろう。
おまけのネタ:延長前半が終了したところで競技場の時計針が10分のところから猛スピードで45分まで振り切れ、そのまま延長後半は会場に時計無し状態だった。ベンチからも目安の時間は声出しているだろうけど、今まであったものがなくなると焦りそうなのは素人考えか。