パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

藪の中〜ノルウェー戦の後(2002年5月14日)

ガッタス目当てで買った『FOOTBALL NIPPON』(vol.7)の中身を今更ながら読んでいると、小野伸二インタビュー記事(構成:日刊スポーツの小西弘樹)の中に気になる箇所があった。

2002年5月のノルウェー遠征のときだった。ワールドカップを1カ月後に控えた段階で、予選敗退したノルウェーに0-3と惨敗してしまう。選手間にも不穏な雰囲気が漂った。ここで力を発揮したのが小野だった。自らの部屋を提供し、トルシエ監督の承認をとって、選手同士で酒を酌み交わす機会をつくった。中田英寿も顔を出すなど、1カ月後に迫ったワールドカップに向け、チーム全体で気持ちを切り替えることに成功した。
ノルウェー戦の後もすごかったみたいだね。
小野 ああ、部屋が居酒屋になった。すごかった、あんときは。
ーそういうのって、いつも、小野選手が中心にできるイメージがある。
小野 そんなことないんじゃないですか。たまたま、何人かで飲んでたら、人がだんだんと集まってきたって感じだったから。
ーでも、居酒屋店長さんでしょう。
小野 すごかったねえ。ビール2ケースぐらい持ってきたからね。すごいみんなで盛り上がって。

当時、ヒデメールでこのエピソードが公開され、その中では中田が中心だった記憶(久保が飲んだら面白いという話題で盛り上がった)があるが。どうやらヒデメールのバックナンバーは有料のようなので(保存しておけばよかった)、当時のスポーツ新聞記事を2ちゃんスレから孫引きする。

意識的な行動だ。中田英は合宿に入る前に出演したテレビ番組で「雰囲気づくりは重要ですね」と話した。14日ノルウェー戦の前日にも「リラックスが必要だし、盛り上げたいです」と宣言していた。0-3と完敗した試合の夜も、自らトルシエ監督の許可を得て、アルコール類を手配した。小野の部屋で飲み会は始まり、落ち込んだ選手たちも一気に気分転換したという。出席した選手の1人も「負けた後にあんな楽しい時間が過ごせるなんて思ってもみなかった」と振り返った。

ついでに『週刊文春』で連載していた川口能活(中の人は吉井妙子)の証言も、2ちゃんスレからの孫引き。

ノルウェー戦の直後、中田が音頭を取って飲み会をした。 代表の選手が一堂に会するのが珍しいことである。
言葉には出さなかったものの、全員に沸き起こった危機感が、酒の席に向かわせたのである。
会場は小野伸二の部屋。狭い部屋に入れ替わり立ち替わり集まり、それでも常時十五〜十六人は顔を揃えた。
「世間では誤解されているようですが、ヒデって結構、リーダーシップがあるんです。チーム内では後輩たちにも気配りしていますし」

別にスポーツ新聞がウソ吐きだと批判したいのではなく、やはり物語というのは旬の人物が好人物になるように配置されるものだなあ、と再確認。とはいえ「中田が音頭をとって」と「中田英寿も顔を出す」では、えらい違いだが。ここ何年も代表選手にくっついている番記者フリーライターは、選手から「オフレコで」と頼まれつつも、当時の件については大体の経過を知っていると思うのだが、これからも記事にしやすい都合の良い箇所だけを適当に脚色して表に出すつもりなのだろう。
個人的な推測では、中田が「俺がトルシエに一言言ってくるよ。後から分かってあれこれ言われるのは嫌だから」と言い出し、小野が「じゃあ俺、みんなに声掛けておきますから」と誘う係。敵や上司に向かって全体を代表して要求が出来る中田と、内に向かって自然と結束するムードを作れる小野は、互いに補い合うタイプの違うリーダーとして期待している。