パロップのブログ

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WOWOW『ギリシア(ドイツ1970s)対チェコ』

2004/7/2放送
今時マークを受け渡さないで、逆サイドまでずっとバロシュについていた2番のベルティ・フォクツとかいう選手、90分以上の間、完璧に仕事をこなすゲルマン魂恐るべし。
延長に入って出てきた10番のギュンター・ネッツァーとかいう選手、戦術的に不遇を囲っていても、いざという時に仕事をする。流石「センチメーターパス」の男。
というのは冗談にしても、大切なのは最新流行の戦術なんかではなく、個人の技術(何気にテクニックのあるギリシア人)と共通理解と精神力か。
いつもは対面の選手をケアするために、ある程度左サイドのディフェンスにも気を割いていたネドヴェドにとって、自分にマンマークがついてくるギリシアの守り方というのは、意外にやりやすいのではないかと事前に予想。実際、ネドヴェドが中に絞ってヤンクロがサイドを上がる場面も多くあった気がするし、ネドヴェドに代わって入ったスミチェルもいつもより中央にいる時間が長かったと思う。
55分くらいから一旦ギリシアの運動量が落ちて、チャンスだった。あれは戦術的撤退だったとは思えない。あそこで仕留めなかったのが後々響いたと云えない事もない。
グループリーグブルックナーが早めに動いたのは、先制されたために「もっと攻撃的に」というメッセージを選手に伝えるためもあった。0対0ながら自分たちらしい形は出来ている、出来の悪い選手がいるわけでもない、という場合、選手交代を行わないのもロジカルな選択。ベンチのブルックナーの映像もフリーズしていたというよりは、水飲みながら「なかなか上手くいかんのう」という感じに映った。開始25分で選手交代するのは入り方を間違えたとも云えるし、交代しないのは自信をもって送り出した11人が機能しているからとも云える。交代の1つや2つで采配云々するものではないと思う。
とはいえ、延長に入って警告を受ける前辺りからバロシュは明らかに疲弊しており、もう少し早く代えても良かった気もするが、監督が「バロシュには守備の責任を軽減してもゴール前で一仕事して欲しい」という気でいたのかもしれない。その割に、バロシュ本人が自分の奪われたボールを取り返そうと必死だったのは悲しい誤算。結局ハインツを誰に代えて投入するつもりだったかもはっきりしないし。もしかするとバロシュを残していたかもしれない。
ポボルスキは最後に来て、ようやくロテイロを完全にマスターしたのか、CKも精度のあるボールを蹴っていたが、流れの中での仕事は今大会中、一番出来が悪かったかもしれない。いつもは前半消えていても、70分過ぎから突然ボールが入り出したりしたのだが。もっとも、バロシュが右に流れてきた、コラーが右に流れてきたのでポボルスキ/グリゲラの上がるスペースを消したという意見には組みしない。チェコのサッカーは、同サイドに4〜5人寄ってチマチマとパスを交換しながら、スッと1人が縦に抜け出すのも特徴の一つだと思うので。これで引退かもしれないポボルスキだが、恐らく8月に欧州各国で行われるフレンドリーマッチ、もしチェコ代表がプラハで試合をするのならば、バカンス焼けして太ったポボルスキの通算100試合記念兼引退試合をやってあげて欲しい。
チェフの奇妙さは、相手のシュートがGKの正面(或いは守備範囲内というべきか)にとぶこと。ディフェンダーがコースを消して必然的に正面、というのではなく、まさにGKと1対1の状況でチェフの正面。一般に「GKは先に動いてはいけない」などと云うけれど、シュートの直前まであれだけ棒立ちで力の抜けている奴にはなかなかお目にかからない。枠を外れたFKとかマジ棒立ちのまま見送る事多いし。今大会の失点もCK/FKからポジションとる前にヘディング食らった2失点(ギリシア戦/オランダ戦の1点目)と、右サイドを崩されてマイナスのクロス2本から2失点(ラトビア戦/オランダ戦の2点目)しただけで、1対1ではほぼ完封だろう。ややまずいキックの精度は日々練習すれば上がるはず。ブッフォン/トルドレベルまではまだかもしれないが、完成される日が楽しみだ。ただ、イングランドでネタキャラになる可能性も否定出来ない。リラックスし過ぎてみえるので、いざ点を取られると「やる気あんのかよ!」と変に誤解されるタイプ。
大会全体のまとめは後日。