パロップのブログ

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続・輸入権

地元の田舎新聞の子供向け欄(「ニュースなぜなに」のコーナー)に「逆輸入CD禁止」に関する記事が載っていた。恐らく通信社の配信記事。熊本日日新聞秋田魁新報社のサイトに原文がある。
http://web.kumanichi.com/kodomo/nazenani/index.php?txt_key=55
http://www.sakigake.co.jp/manabu/y2003/news/news_41.jsp
(話は逸れるが、通信社の記事を自社サイトに転載してよいのだろうか)

 日本のレコード会社が集まってつくった日本レコード協会が「大型安売り店に安い逆輸入CDがあると、日本盤が売れなくなるので困る」と言って、政府に「逆輸入CDが日本に入らないように法律で禁止してほしい」と頼みました。

と背景を説明し、

 消費者の権利とくらしを守る活動を展開している全国消費者団体連絡会は「日本盤が高すぎる。自由な貿易がなくなり、安いCDが買えなくなるのはおかしい」と強く反対しています。

ときて、最後に、

 日本レコード協会は「歌手や作曲家たちに、素晴らしい音楽を作ったご褒美となる著作権料をきちんと払ってあげないと、将来、日本からいい音楽が生まれなくなる」と説明。安いCDが入って来なくなれば、日本盤の価格を下げる努力をすると約束しています。

で締めくくる。対立する双方から意見を聞き、中立を装った上でレコード協会の考えで締めるという、御用記事として完璧な出来。往年の鹿取/杉山/潮崎のリレーを彷彿とさせる見事な締めっぷり。子供たちも納得。
と、ここまでは前振りで、以下本題。
あちこちを読む限り、アジアからの還流CDを防ぐのが目的というのは表向きで、欧米からの並行輸入封じが狙いらしいのだが、香港などから並行輸入されていたアジア系アーティストのCDはどうなるのかという話はあまり聞かない。
東芝EMIへ移籍後は大体新譜で買っている王菲好きの私だが、当時から日本盤と輸入盤の値段の差は500円もなかった気がするし、日本盤にはボーナストラックが付いている/輸入盤にはVCDが付いている、と差別化も図られていた(そして多分律儀なヲタなら両方買う)。香港と台湾と中国本土では物価も異なるだろうから正確な事は判らない(香港に輸入権が創設されたのも多分周辺国との物価差のせいだろう)が、日本=アジア間価格差に関しては特別誰かが損をしたという気はしない(アジアから日本へ入る過程で誰かがぼっていたのか)。で、王菲はいつの間にかソニーに移籍したらしく、新譜が出たという話も聞かないので、一体どうなっているのかと検索したところ、何と昨年末に新譜が発売されていた(http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1856829)。HMVでは台湾盤が1978円、香港盤はDVDを付けて2361円(偶然今日取扱い開始!)。アマゾンでは扱っておらず。ソニー日本は発売する気がないようで、それは結局日本で人気が出なかったからなのか、どうせ安い輸入盤しか売れないから無駄だと思っているのか、アジアからCDが入ってこなくなるまでは日本盤を出さないつもりなのか、彼らの意図が今一つ判らない。しかし本当に輸入権が認められたら、チャイナ雑貨みたいなのを扱っている店なんかはどうなるのだろう。あういう法的に緩いからこそ面白いみたいなのを締め出しても、個人輸入は廃れないのだろうけど、洋楽のブートと同じ道を歩むのか。逆か、今アマゾンで日本盤が出ないマイナーな洋楽買っている人たちが、チャイナタウン化した個人輸入ショップ街を探し回る事になるのか。まあ、一般の地方人からすれば、怪しい店にクレジットカードの番号を曝してまで欲しいものなんてまずない。
(追記)
この話題は既に「切り捨てられるアジア音楽ファン」として取り上げられていた。(http://kotonoha.main.jp/2004/05/11uragirareta-seimei.html)(id:ykurihara経由で知った)
で、その周辺もいろいろ読んだけど、正直(私は行った事ないけど)新宿西口へ行けば何でも手に入る都会の洋楽ヲタと、(私は行った事ないけど)新大久保へ行けば何でも手に入る都会のアジアヲタが、「文化を守れ」と言いつつ、私のような田舎者の利益を勝手に代弁しているだけの、コップの中の嵐感が拭えない。私が10代だったら、手に入らないモノ程、欲しくなっていただろうけど、30歳前になると「入手困難? じゃあいいや」と諦めも早くなる(クリックして5秒経っても画面変わらなかったら中止押すし)。